○優しい男性○ ページ17
彼女の望み通り、俺は彼女を連れてオーダンの村近くまで瞬間移動石で移動すると、一応俺はアランに変装してから村の中へと入った。
するとAは間近で見る風車に改めて圧倒れているのか、感嘆の声をあげながら村を見渡した。
オーダンは小さいので村人も少なく、ポツポツと人が数人外に出ていた。
そして何処からか子供達の楽しそうな声が聞こえる。
どうやらこの村は平和な村の様だ。
今頃リオネス王国近辺では、王国転覆を図ったとされる〈七つの大罪〉探しに奮闘していると言うのに。
…と言っても、此処にその1人がいるのだが。
「おや…?こんな村に客人とは珍しいな」
暫くオーダンを歩いていると、不意に1人の男性に声を掛けられた。
その足元には幼い少年が、こちらをじっと見つめていた。
「ようこそ、オーダンへ。
何にも無い村だがゆっくりしていっておくれ」
「はい。そうさせてもらいます」
気さくな男性の対応に俺は返答を返すと、ふとAの身が妙に俺の方に寄っているのに気がついた。
心なしか表情も強ばり、その視線は男性と幼い少年を交互に見つめる。
…きっと、怖いのだろう。
「ところで…お嬢さんは怪我でもしたのかい?」
「へっ…?」
不意に男性の顔が心配そうな表情になると、彼は彼女の顔を覗き込みながら尋ねた。
まさか話し掛けられるとは思わなかったのだろう。
Aは目を見開き驚いた顔をして男性を見遣る。
「体が包帯でぐるぐる巻きにされているからね…それに、何だか赤黒い。
まさか、身体中火傷を…」
「い、いやっ……そのっ…」
男性の質問に、彼女の言葉が詰まる。
それもそうだろう。
正直にあの不治の病『腐敗病』と言ったら一体どんな顔をされるのか。
最悪、彼女が過去にあったような扱いをされるだけだ。
彼女はきっとそれが嫌なんだ。
誤魔化す術を考えあぐねる彼女の様子を見て、俺はおもむろに口を開く。
「…はい、実はそうなんです。
前に家が燃えてしまって…彼女はそれで全身を大火傷して、まともに歩けない状態になってしまったんです」
「…!」
するとAは目を大きく見開いて、バッと俺の方を見つめた。
俺はそんな彼女を安心させようと微笑みを浮かべる。
「それはそれは…御気の毒に…
でも、命は助かって良かったよ」
男性は眉をハの字に下げ、でも何処か安心したかのように微笑んだ。
Aはソレをじっと見つめ
数秒後、照れくさそうに目をそらした。
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パセリン(プロフ) - *IJu*さん» (*^^*) (2016年7月21日 1時) (レス) id: 9b51e61c30 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - パセリンさん» ご指摘ありがとうございます!早速直しました! いつも見に来て下さってありがとうです… |゚Д゚))) 更新頑張りますっ!! (2016年7月21日 0時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
パセリン(プロフ) - ゴウセルの台詞が、「ああ、降ってるな」が、「ああ、振ってるな」になってますよー! 毎回更新されるのを楽しみにしています!頑張って下さい(*^^*) (2016年7月21日 0時) (レス) id: 9b51e61c30 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - パセリンさん» ありがとうございます!更新頑張りますっ(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年5月9日 23時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
パセリン(プロフ) - *IJu*さん» はい!!更新楽しみにしてますね♪頑張って下さい(*^-^*) (2016年4月30日 17時) (レス) id: 9b51e61c30 (このIDを非表示/違反報告)
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