彼女の為なら【七つの大罪】part7 (ページ43)

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彼女の涙ページ43

7本。団長の胸に突き刺さる剣。

リラも、サイコパスも言っていた。

魔神族は7つの心臓を持っている。
ソレを全部潰したら死ぬ。

つまり団長は心臓を全部貫かれて、死んだ。

…………団長が……死んだ………？

『おああっっ！！！』

目の前で殺された団長に、サイコパスを止めようとしたバンも涙を流す。

尚もヤツの首を締め付けるが、ヤツは微動だにしない。
それどころか呑気に溜息なんて吐いて、項垂れた。

『つか…さっきからピーピーうるせえぞ…耳障りだ………』

瞬間、バンの身体が弾け飛ぶ。
まるで風船みたいに身体が弾けて、細かい肉塊となって地面にﾍﾞﾁｬﾍﾞﾁｬと落ちた。

バンがいなくなると、辺りは耳が痛くなるぐらい静かになる。

目の前の光景が未だに信じられなくて、僕はその場に佇む事しか出来ない。

そんな僕達に追い討ちをかけるように
サイコパスは涙を流しながら微笑んで告げた。

『メリオダスはたった今死んだ。

＿＿＿ブリタニアは魔神族(オレたち)のものになった』

『行くぞ』と続けるとヤツら魔神族は次々とその場から飛び立ち、静寂に包まれた。

残っているのは、7つの心臓を刺され殺された団長だけ。

団長の死に、彼と関わりのある者達は皆泣いていた。
アーサーも、エスカノールも、ディアンヌも、キングも＿＿＿そして、僕も。

リラも僕の腕の中で静かに泣いていた。

僕の胸の中に顔を埋めて、泣いていた。

「……A様……」

ふらり、不意に王女さんが僕の所へと歩み寄る。

涙を流し、目を伏せながらも確かに僕の元へやって来る。

どうしたのかとそちらの方を見ると、王女さんは震える声でゆっくり口を開いた。

「…私を、あの場所へ連れていって…」

「えっ…？」

「お願い………」

王女さんはﾎﾟﾛﾎﾟﾛと涙を流しながら、僕にそう頼んだ。

いつもより弱々しい、今にも消えてしまいそうに。

僕は一瞬躊躇したけれど王女さんの頼みだし
何より彼女は団長の傍に居続けていたから、僕はその願いを了承する。

リラの肩を叩き、1度彼女から離れると
僕は王女さんと向かい合う。

そうして指を鳴らしてみれば、目の前の景色が一瞬で変わった。

殺風景な岩の上。砂埃がまだ舞う寂しい場所。

こんな所でさっきまで、激しい戦闘があったとは思えないほど静かだった。