彼女の嫌い ページ15
「わかって………ます、マーリンさん」
「…！」
ゴウセルの指が僕に触れる直前
不意にゴウセルの術に掛かっているはずのエスカノールが、何かを呟いた。
これには僕は思わず顔を上げ、ゴウセルも驚いたような様子で隣の方を見遣る。
｢…でも…それでいい。
あなたは僕と並んで歩む人ではない｣
「………なぜだ」
「エスカノール……？」
まだ悪夢を見ている途中なのか、何やらﾌﾞﾂﾌﾞﾂと虚ろな瞳で呟くエスカノール。
ゴウセルにとってもコレは不測の事態のようだ。
「真っ暗だった僕の
太陽そのものなんですから」
何やら呟き続けていたエスカノールだったが
そう言った直後、彼の雰囲気が明らかに変わった。
ﾒｷﾒｷと、彼の体に変化が訪れる。
ﾋｮﾛﾋｮﾛの如何にも弱そうなおっさんだったのに
見る見る内に大きく、そして筋肉質になり、来ている服がﾋﾞﾘﾋﾞﾘと裂け、その逞しい肉体が露となっていく。
ど……どうなってるんだ、このおっさん…！？
だって、今はまだ夜なのに。
エスカノールの魔力は確か、日の出る間だけ有効なもの。
夜の間はほとんど力のないひ弱なおっさんになるはずなのに…！！
「ゴウセル…あなたが私に与えたのは絶望ではなく希望です…！」
先程と打って変わって、強い口調。
話し方も何処か偉そうな感じになり、彼はその瞳に静かな怒りを込めた。
「さあ…！！身を以て償わせてあげよう。
心を弄んだ大罪を…！！！！」
気付けば僕達の身長を優に超え、彼はまんま上から目線でそう告げた。
対してゴウセルは小首を傾げたまま平常運転だ。
驚きはしつつも、相変わらず動揺を知らない。
「想定外の結果だな。
まさか精神世界の擬似的、それも抽象的な
それどころか分析し出す始末。
コイツのこういう所も好きじゃない。
よくわからないがエスカノールがデッカくなってから、周りの温度が上がり始める。
ﾑｼﾑｼと……まるで太陽の下に長時間晒されたような熱さだ。
無論、コレはエスカノールから発している熱だ。
ただ熱いからか、冷や汗か…額から汗が滲む。
僕はこの姿のコイツが…嫌いだ。
偉そうに指図するし、乱暴なのも然る事乍ら
昔、この状態のコイツに喧嘩を売ってこっぴどくやられた思い出がある。
だから、今すぐ此処から逃げ出したいぐらい……嫌いだ。
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＊IJu＊(プロフ) - しらすさん» コメントありがとうございます！そう言ってもらえて嬉しいです( ´ ▽ ` )更新、頑張ります〜！ (2020年4月7日 2時) (
レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
しらす - 文章が上手くて読みやすいです。更新頑張ってください！期待しています！ (2020年4月6日 0時) (レス) id: 6cdd349fb5 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - フリースラさん» コメントありがとうございます！ノロノロ更新ですが頑張ります〜！ (2020年3月7日 0時) (レス) id: 1371b955e9 (このIDを非表示/違反報告)
フリースラ - 続き楽しみにしてます (2020年3月6日 21時) (レス) id: d392d98f0d (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - たこクラゲさん» コメントありがとうございます〜！ゴウセル推してるんですね！ゴウセルはいいぞ……()楽しんで頂けたようで良かったです(*´∀｀) (2019年6月25日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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