彼女の為なら【七つの大罪】part6

彼女と男性 ページ49

「……あれ？ここは……ゴール？」

「瞬間移動術か。流石だA」



何も言わずに瞬間移動したものだから、リラはｷｮﾄﾝと首を傾げ、ゴウセルは僕の方を見遣る。

なんかムカついたから僕はすぐに下ろすよう頼むと
彼は素直に僕を下ろし、僕も抱えていたリラを下ろした。


その瞬間、足元で「ぐえっ」と声がして、僕達は思わず足元を見下ろすと
そこには男性が倒れていて、僕達3人はその男性の上に思いっきり乗っかっていた。



「ん？」

「あ、」

「きゃあ？！ご、ごめんなさいお兄さん！」



慌てて僕達はその男性から降りて、リラが謝ると
その人はムクリと起き上がって頭を摩りながらﾍﾗﾍﾗと笑いながら言った。


その顔には見覚えがある。



「い…いえいえ。よく影が薄いと言われますから…お気になさらず」

「こっちこそ！んもうAったら！」

「…わざとじゃない。咄嗟だったから着地点ちょっとミスったの」

「だからって人の上に瞬間移動しなくても…！
ああ、本当にごめんなさいね？この子無愛想な子だけど、でもとっても優しくて気遣いが出来る子なの」

「アンタは僕の母親かよ……」



リラは余程申し訳ないと思っているのか、終始心配そうな顔をして男性に謝り
時々こちらを見て睨む様な顔をしては、再び男性の方へ視線を戻して謝る。


…本当にわざとじゃないのに。

それにその人許してくれてるじゃん。それならいいじゃん。



「大丈夫ですよ、お嬢さん。
皆さんにお怪我が無くて良か……」



ほら、大丈夫っ言ってる。大体怪我無さそうだもん。

寧ろこちらを気遣ってくれ、リラは更に謝り倒す。


その時、男性は何かに気付いたのか、ふと視線を下に下げた。
そうして何かを拾いあげれば、その瞳を大きく見開かせる。


そんな中、空気の読めないゴウセルは何かに気付いたのか、男性とじっと見つめながら不意に口を開いた。



「その声音…骨格…口調…お前は…

エスカノール、久しぶ」

「わーーーーーーーーーっ！！！！！」



ゴウセルは何かを言いかけた様だが、それを遮るかのように男性の悲鳴が響き渡る。

その手にはブリッジの部分が見事に壊れて真っ二つになった眼鏡だった物が握られていて
男性はふるふると震えながら悲観した。



………って、エスカノール？

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