彼女のざわめき ページ19
その後はまぁ、大人数にやったものだから結構早く掃除が終わったみたいで。
割とすぐ解散となり、念願の自由時間となった。
約束通りアーサーとまた2階の部屋で一緒に読書を再開したのだが
どうもさっきの事があってから調子が出ないと言うかなんと言うか。
本読む気はあるんだけれど、内容が頭に入らなくって。
さっきっからずーっとおんなじページ眺めてる。
……あれからあのガキンチョ、目も合わせやしない。
僕がチラッと見ただけですぐ近くの人の足元にくっついて、泣きそうな目で僕を見つめて。
確かに子供にしたら怖かったのかもしれない。
でも少し怖がり過ぎじゃなかろうか?
僕だって好きで怒ったワケじゃないし、ましてや四六時中怒ってるワケでもないのに。
全部全部ハウザーがバカにしたのが悪いんだ。アイツまじでいつか潰す。
………というか、僕はどうしてこんな事いちいち気にしてるんだろう?
別にガキの1人や2人に怖がられた事で僕にはなんの影響もないのに。
なのになんで、こんなに心に引っかかって、こんなに脳裏に怯えた彼の顔が浮かんで、こんなにザワザワするんだろう。
たかが人間のガキ1人で………
「こんな所にいたのか、A」
ボーッと考えながら僕はただ文字の並んだだけのページを眺めていると
不意に部屋の扉が開かれ、そこからマゼンタ色の頭が覗いた。
途端に僕の眉間にシワが寄っていき、アーサーは本から1度顔を上げて「ゴウセルさん?」と声を掛けた。
「A殿を探しに?」
「ああ、用事があってな」
「……ゴウセル、リラは?」
「彼女なら1階でグリアモールと遊んでいる。
Aと違って優しいから懐かれたようだ」
「………………」
……一言余計なんだよ、変態人形が。
彼女の居場所を聞いただけなのに。
言われて僕の本を持つ手に力が込もる。
アーサーは苦笑してるけれど、僕の方を見遣るとすぐ笑うのをやめた。
「ところでゴウセルさん、用事というのは」
「お前にではない」
「今それどころじゃない」
「何故だ?」
「見てわからない?絶賛読書中なんですケド?」
「ページが進んでいる様子はないが?」
「………」
僕は思わず黙り込む。
悔しいけど図星だったから。
1度本を閉じて僕はゴウセルを睨みつけると、ゴウセルは相変わらずの無機質な瞳で僕を見遣る。
その瞳はやはり何度合わせても虫唾が走った。
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*IJu*(プロフ) - らんさん» うーん…一応更新する順番は決めているんですが、特殊というかなんというか…お話もメモとかしてないでその場で言葉を考えて打っているので、パッと書ける時もあればそうでない事もありますし、基本不定期ですね(´・ω・`)長いと1ヶ月弱更新しない事もあります……… (2018年10月5日 4時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
らん - どの程度で更新するんですか? 例えば、週に2度とか、土日の12時にとか! (2018年9月30日 22時) (レス) id: 1161fafd27 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - らんさん» コメントありがとうございます〜!!楽しんで頂けているようで良かったです(`・ω・´)これからも更新頑張ります〜!! (2018年9月30日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
らん - 更新楽しみぃ!! 面白くて、Part1から一気に読んじゃいました!これからも頑張ってください! (2018年9月28日 0時) (レス) id: 1161fafd27 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます! 楽しんで頂けて良かったです〜(*´∀`) これからも更新頑張らせていただきます! (2018年9月23日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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