彼女の嫌い ページ18
「おぉ〜っと?子供泣かせるだなんて!なァんて酷いヤツなんだァ?」
怪我は無いのか、手を貸さなくても立てるのか。
何分動きがなくただ鼻を啜るグリムモールに僕はどう声を掛けようか内心戸惑っていたが
ふとその最中でハウザーが僕に茶々を入れ、僕は再びハウザーを睨みつける。
腹立ったからそのまま髪の毛を1束を尖らせてヤツに向かわせ、その頬を掠めさせると
ハウザーは途端に顔色を変えてその場にマヌケ顔のまま固まった。
「…いい加減にしないとマジでぶっ壊してやるぞテメェ…」
「ひ、ひぃっ……!!」
青ざめた顔でこちらを見遣るハウザーに僕は言い放ったのだが、ハウザーからの返事はなく
代わりにあどけない悲鳴が僕のすぐ足元から聞こえてきた。
ハウザーの発言にイラついていた僕は思わずそのままの眼光でギロリと下を見下ろす。
しかし目があったのはバカにする顔でも蔑むような視線でもなく、怯える子供の瞳で。
その頬にはもう涙が伝っていた。
「まっ…魔女だっ……!
髪の毛が蛇の魔女だぁぁあ!!」
「あっ、オイ…!」
気付いた時にはもう遅く、彼は泣きながら慌てて立ち上がると、すぐそばにいたヘンドリクセンの足にしがみつき、ヤツの後ろに隠れた。
チラリとヘンドリクセン越しにこちらを見つめるその少年の表情は恐怖に引き攣っていて
ガタガタと震えながらこちらを見遣るその様は、まるでバケモノでも前にした時のような反応だ。
………そんなに、怖かったのかな。
それとも特別アイツが怖がりだったのか。
どちらにしろその少年の言葉が、胸に刺さって残ってる。
『髪の毛が蛇の魔女』
まぁ、確かに魔女だし。髪の毛が動くだなんてまず考えないだろうし。
人間達に伝わる神話に確かそんなヤツいたし、そう言われても仕方ないっちゃ仕方ない。
…………ただ、そんな目で見ないでほしい。
その怯えた表情で。恐怖した瞳で。
今のは僕が短気だったのが悪いけど…だからってそんな怖がらなくってもいいのに。
挙句こっちが悪者みたいな言い方しやがって……
「………これだから人間は嫌いなんだよ」
ボソリ、一言吐き捨てる。
ああ、もう気分が悪い。これ全部ハウザーのせいな。
僕は舌打ちを1つかますと、再びブラシを動かして掃除に戻った。
なんか周りの視線が僕に集まってるみたいだけれど、気にせずただ無心でブラシを動かした。
………別に。気にしてなんかないし。
傷付いてなんか、ないし。
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*IJu*(プロフ) - らんさん» うーん…一応更新する順番は決めているんですが、特殊というかなんというか…お話もメモとかしてないでその場で言葉を考えて打っているので、パッと書ける時もあればそうでない事もありますし、基本不定期ですね(´・ω・`)長いと1ヶ月弱更新しない事もあります……… (2018年10月5日 4時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
らん - どの程度で更新するんですか? 例えば、週に2度とか、土日の12時にとか! (2018年9月30日 22時) (レス) id: 1161fafd27 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - らんさん» コメントありがとうございます〜!!楽しんで頂けているようで良かったです(`・ω・´)これからも更新頑張ります〜!! (2018年9月30日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
らん - 更新楽しみぃ!! 面白くて、Part1から一気に読んじゃいました!これからも頑張ってください! (2018年9月28日 0時) (レス) id: 1161fafd27 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます! 楽しんで頂けて良かったです〜(*´∀`) これからも更新頑張らせていただきます! (2018年9月23日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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