彼女の望み ページ12
「でもこのビラ配っていたの、魔神族だったんですよね…」
「えっ」
拳で語り合うような殴り合いを想像して、私は団長に心の内で呆れていると
ふとアーサーがボソリとそんな事を口にした。
ちょっと待って、聞いてない。
魔神族がこのビラ配ってたとか聞いてない。
そういう事は先に言わないと、アーサー。
ていうか、魔神族?
魔神族ってあの、団長達が戦って歯が立たなかった魔神族?
…ああでも団長、ドルイドで力取り戻した後『挨拶しに行って来る』っつって行って戻って来た時は無傷だったか。
とにかく魔神族と言ったら伝承にもあるあの魔神族。
この目でまだ見てはいないが、話を聞く限りかなりヤバいヤツらだと言える。
そんなヤツらがこんなビラ配ってただなんて。
そんなの目的は1つしかないじゃない。
「…………罠だろ、コレ?」
「はい、恐らく…」
「……団長には言わなかったの?」
「いえ、一応言いましたけれど…それでも行くと」
「………………」
まさかとは思ったが、案の定過ぎて言葉も出ない。
思わず頭を抱え込むと、アーサーも苦笑いを浮かべた。
……ホンットあの団長は、何考えてんのかさっぱりわからない。
わざわざ罠にハマりに行くだなんて。アホにも程がある。
いや、でも何が考えがあったりするのかも…しれない。
もしかしたら団長には何か作戦があるのかも……しれない。
…………想像出来ないケドな、そんな頭脳派な団長。
あの人、脳筋って感じだから。
「でもA殿、魅力的だとは思いませんか?
爐いなる望みも叶える畍⇒って」
不意にアーサーは話を変えて、私の隣に腰を下ろす。
そうして子供のようなあどけない表情で私を見遣るので、私はそっと視線をビラに戻した。
「ふぅん、欲が無さそうな顔してるけど、やっぱ興味はあるんだ」
「当たり前ですよ!だってどんな望みも叶えてくれるってワケですから!
A殿だったら何を望みます?」
「僕は………」
話を振られ、思わず答えようとして口を噤む。
僕の望みはきっとあまり人に言ってよく思われないと思うから。
…つっても、大抵の欲望は言ってもよく思われないだろうけれど。
でも何となく言いたくなくて、僕は少しの間を空けると
不意に顔を上げて、アーサーに質問を返した。
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*IJu*(プロフ) - らんさん» うーん…一応更新する順番は決めているんですが、特殊というかなんというか…お話もメモとかしてないでその場で言葉を考えて打っているので、パッと書ける時もあればそうでない事もありますし、基本不定期ですね(´・ω・`)長いと1ヶ月弱更新しない事もあります……… (2018年10月5日 4時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
らん - どの程度で更新するんですか? 例えば、週に2度とか、土日の12時にとか! (2018年9月30日 22時) (レス) id: 1161fafd27 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - らんさん» コメントありがとうございます〜!!楽しんで頂けているようで良かったです(`・ω・´)これからも更新頑張ります〜!! (2018年9月30日 1時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
らん - 更新楽しみぃ!! 面白くて、Part1から一気に読んじゃいました!これからも頑張ってください! (2018年9月28日 0時) (レス) id: 1161fafd27 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - 紫苑さん» コメントありがとうございます! 楽しんで頂けて良かったです〜(*´∀`) これからも更新頑張らせていただきます! (2018年9月23日 0時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
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