彼女の思い出 ページ5
「……………」
山小屋にもう1冊の魔道書が無いと分かった僕は思い当たる節を脳裏で巡って、やがて一つの場所に辿り着いた。
少し躊躇いはあったものの、仕方なくその前に瞬間移動するとその建物は昔と変わらぬ風貌でそこにあった。
………まさか、またリラの家に来る事になるとは。
此処で僕は彼女と出会い、そして暮らし、彼女を殺した。
思い出の場所にであり、あまり近寄りたくなかった場所。
でももう、此処ぐらいにしかあるとは思えないんだ。
だって〈七つの大罪〉に入った時には既に持ってなかったし。
まぁ、1冊だけ持って行った僕も僕だけど。
家の扉のノブに手を置いて、ゆっくりと開く。
すると目の前にはあの時と変わらぬ光景が広がっていて、思わず涙が出そうになった。
「ハハッ……変わってねぇなぁ……」
人1人が丁度住めるぐらいの質素な家。
基本的な家具は取り揃えており、小さな窓から陽の光が差し込む。
僕はいつもあの窓から、外を眺めていたな。
ギシギシと軋む床を踏み締めて、僕は部屋を見て回る。
リラがいつも座っていた椅子。
リラと一緒に食事をしたテーブル。
リラがいつも寝ていたベッド。
全部、全部あの時のままだ。
当時のまま、残ってる。
「……」
部屋を見渡しながら彼女の事を思い出し、目を閉じる。
途端に浮かんでくるのは、リラの様々な表情。
笑った顔。怒った顔。困った顔。戸惑った顔。
そして、涙を流している顔。
「……はぁ」
そこまで思い出して僕は溜息を吐くと、本棚の前へと歩み寄った。
本棚にはあの頃と同じくギッシリ本が詰まっていて、それだけでも苦しく感じた。
そして山小屋の時と同じ様に端から端まで見て行くと、一際分厚い本が2冊あった。
僕はそのどちらもを手に取り、紫の表紙の本と先程手に入れた青い魔道書の表紙に描かれた紋様を照らし合わせる。
どちらも同じ紋様だ。
つまり、この紫の本も僕の魔道書だ。
となるともう1冊の黒い本は普通の本だろう、とそのまま本棚に仕舞おうとしたが
その表紙に本の題名が記されていないのが、気になった。
その本には題名らしき文字は何処にも書かれておらず、代わりに魔道書と同じ紋様のようなものが描かれていた。だけど僕の紋様とは違う。
まさかと思い僕はパラパラと捲ると、その本の書体は魔女にしか読めないあの独特の書体で書かれていた。
これは………『
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*IJu*(プロフ) - 如月李瑠葉さん» コメントありがとうございます! ツンデレ良いですよねツンデレ(( そんな、天災だなんて…← 僕には非常にもったいないお言葉でず…_( _´ω`)_ (2017年1月9日 12時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
如月李瑠葉 - これも面白いですね!夢主のツンデレっぷりがイイ…天才ですか!? (2017年1月9日 1時) (レス) id: 5cf1189260 (このIDを非表示/違反報告)
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