彼女の苦悩 ページ15
「こんなもん……かな?」
とある森の奥にある少し拓けた場所で、僕は黒い『
大分時間が経ってしまったが、まぁ、とりあえず大方の準備は整った。
あとは“ヤツ”を此処に誘い出すのみだ。
「はーぁ、疲れた…」
一仕事終えて僕は大きく伸びをすると、そのままいい感じに茂った草むらに寝転がり、空を見上げた。
空は雲一つ無い晴天のようで、見ていてとても清々しい。
陽の光も程よく注がれ、小鳥の囀りやそよ風が揺らす葉音がとても心地よく私を取り囲む。
やっぱ森って最高…
1人になれるし、静かだし、自由だし、とても良い所。
それに鳥の声も、草木の声も、心地よくって僕は好きだ。
これであとは本があれが完璧なんだけどなぁ……
「……」
そこまで考えて、僕の視線はふと自分の抱いていた黒い魔道書に移る。
…いや、確かに本だけれど……でも物語じゃないし。
僕が読みたいのは人間が書いた面白い話の本なんだけれど……
「……まぁ、いいか」
でも他に読む物は無いし、僕は仕方なくその魔道書を開く。
そう言えばよく読んでなかったからね、この魔道書。
これからまたヤバイ敵が現れるかもしれないし、いざと言う時の為に覚えておいた方がいいかもしれない。
魔道書の中身はやはり禁術が中心のようで、死んだ者を生き返らせたり、逆に殺したり、体を若返らせたり、相手に呪いを掛けたり
とにかく様々な種類の禁術がそこには記されていた。
もちろん、基本的な回復術や攻撃魔術もちょくちょく記されてはいる。
だがメインじゃないからか数は少ないし、それにあまり魔力を消費しない簡易的なものばかりだ。
「…………こんな魔道書が、リラのだなんて…」
有り得ない、僕はそうハッキリと心の中で呟いた。
だってリラだったら、絶対に自分の愛した“彼”の事を蘇らせるに決まってる。
それか綺麗な女性達を皆殺しにするか、醜い容姿に変えるか。
だから、有り得ないんだよ。
彼女が魔女族で、この魔道書の持ち主だなんて。
彼女が僕に嘘をついていただなんて。
「有り得ない……有り得ないよ……」
黒い魔道書を見ながら1人俯くと
自分に言い聞かせるように何度も、何度も呟いた。
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*IJu*(プロフ) - 如月李瑠葉さん» コメントありがとうございます! ツンデレ良いですよねツンデレ(( そんな、天災だなんて…← 僕には非常にもったいないお言葉でず…_( _´ω`)_ (2017年1月9日 12時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
如月李瑠葉 - これも面白いですね!夢主のツンデレっぷりがイイ…天才ですか!? (2017年1月9日 1時) (レス) id: 5cf1189260 (このIDを非表示/違反報告)
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