彼の苦悩 ページ14
Aが部屋から出てしまった後、俺はスレイダーと共に俺が着る服を探していた。
スレイダー曰く、「いつまでも全裸でいるわけにはいかない」らしい。
別に俺は平気なのだが、周りがそうもいかないようで。
「ほーら、ゴウセル。服を持って来たわ。
アナタに合うとっておきを一緒に探しましょ」
スレイダーが何処からか綺麗に折り畳まれた服を幾つか持って来ると、いつもより少し高めの声でそう言って俺の体に服を翳した。
どうやら機嫌が良いらしい。
そんなに俺に服を着せるのが楽しいのだろうか?
「ゴウセル、アナタ相当あのAって言う子に嫌われているのね」
服を翳しては首を傾げ、また違うものを翳して曖昧な声を零していたスレイダーは、ふと次の服を翳した時にそう話した。
「…スレイダーはAの気持ちがわかるのか?」
「そりゃあ、態度を見れば一目瞭然よ。
あそこまで嫌われるだなんて…アナタ一体彼女に何をしたのよ?」
思い当たる節があり過ぎて考えあぐねる。
確かに彼女の態度は以前にも増して冷たくなったし、団長からも同じ様な事を言われた。
……となると、俺はやはり彼女に嫌われてしまったのだろうか?
「っ…!」
ああ、まただ。
また、この胸の痛みだ。
何かで刺されたかのような、この痛み。
これは一体、何なのだろうか。
「どうしたの、ゴウセル?」
「…胸が、痛い」
首を傾げて尋ねてきたスレイダーにそう言うと、彼は仮面の下で目を見開き、そして心配そうに俺の肩に手を置いた。
「大丈夫なの?」
「ああ、そこまで重傷ではなさそうだ」
「もしかして、さっきのヤツになんかされたんじゃ……」
「その可能性は無いだろう」
「じゃあ、どうして胸が痛いのよ?」
俺もわからない。
だから、知りたいのだが。
俺は視線を落として俯くと、暫しの間胸の痛みについて幾つかの可能性を推測していた。
でもその中でも、頭の片隅には“彼女”がいた。
……Aなら、何か原因がわかるだろうか?
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*IJu*(プロフ) - 如月李瑠葉さん» コメントありがとうございます! ツンデレ良いですよねツンデレ(( そんな、天災だなんて…← 僕には非常にもったいないお言葉でず…_( _´ω`)_ (2017年1月9日 12時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
如月李瑠葉 - これも面白いですね!夢主のツンデレっぷりがイイ…天才ですか!? (2017年1月9日 1時) (レス) id: 5cf1189260 (このIDを非表示/違反報告)
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