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彼女の驚き ページ2

「ねぇ、アーサー」



朝の支度を城に仕える侍女と共に済ませ、豪勢な朝食を食べさせられた後

僕はそのまま稽古に行こうとするアーサーを呼び止めた。



「はっ、ハイッ!!何でしょうカっ!?」



アーサーは僕に声を掛けられると思っていなかったのか、ピンと背筋を伸ばし若干裏返った声で返事を返した。


コイツ…ホント大丈夫なのかな。色々。



「…あのさ、ちょっと出掛けてもいい?」



朝っぱらからアーサーの情けない様子に呆れつつも用件を言い渡すと、彼は途端にキョトンとした表情で首を傾げる。



「で…出掛けるって…今から、ですか?」

「うん、今から。
ちょっと取りに行きたい物があってね」

「取りに行きたい、物…?」

「ああ」



だが僕が曖昧な説明をするにつれて顔色が怪しくなり、訝しげな顔で僕の顔を覗き込む。


……これ、もしかして逃げられるとても疑われてるのかな…



「…まぁ、取りに行くっつっても僕の場合は瞬間移動術で一瞬だし。
それにすぐ済む事だからさ…?」



僕は一応そう付け足して、彼の顔色を窺った。

けれど彼はまだ疑っているのか、眉を顰めて僕の目をじっと見つめ続ける。


……見られるのは、あまり好きじゃない。
いつも誰かさんに散々見られていたから。



「…そうですか」



半分諦め『やっぱいいや』と言おうと口を開きかけた瞬間

アーサーはふにゃっと笑って、そう言った。



「…………え?」

「え?」

「え??」

「へっ…?わ、私、何か変な事言いました……?」



アーサーのあまりにもあっさりとした反応に僕は思わず聞き返してしまった。


…え?いいの?そんなあっさりと??

つかだったらさっきの視線は何だったんだよ。



「………いいの?出掛けても?」



もしかしたら聞き間違いかもしれない、と僕はもう一度尋ねたが
彼は「はい」と頷いてから、キョトンと首を傾げる。



「…あのさ、アンタもう少し疑ったら?」

「は、はい…?」

「もしかしたら嘘吐いてるかもしれないじゃない?
どうするの?僕が戻って来なかったら??」

「それはそれで」



アーサーに問い詰めると、彼はまたあっさりとした笑顔を浮かべながらしれっとそう言ってのけた。

彼女の約束→←*彼女の本*



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*IJu*(プロフ) - 如月李瑠葉さん» コメントありがとうございます! ツンデレ良いですよねツンデレ(( そんな、天災だなんて…← 僕には非常にもったいないお言葉でず…_( _´ω`)_ (2017年1月9日 12時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
如月李瑠葉 - これも面白いですね!夢主のツンデレっぷりがイイ…天才ですか!? (2017年1月9日 1時) (レス) id: 5cf1189260 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2016年3月15日 23時

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