彼女の提案 ページ48
「この子、なかなか離れなくって…」
しかし発された言葉に僕は首を傾げると、アーサーも困った笑みを浮かべながらくっついた物体を軽く引っ張った。
しかし物体は伸びるだけで離れようとはせず
ゴウセルも隣で同じように引っ張ったが、同じような結果だった。
「Aの髪の毛で切れないか?」
「き、切るってそんな!可哀想ですよ!」
「ならアーサー、お前を逆さにしてみようか」
「それ、なら…別に私は大丈夫ですけれど…
ああ、でもあんまり乱暴にはしないで頂くと嬉しいです……」
「やめて、アーサーにあんまり乱暴しないで」
「A殿…!」
「…いや、ほら。アンタ仮にも王様だから…
だから、そうじゃない。そーゆー意味じゃない」
「で、デスよねー」
途端に落胆の溜息を吐いてしょぼくれるアーサー。
そんな彼に心の中で僕は「ごめん」と告げる。
…どうもアーサーに期待されると咄嗟に弁解しちゃうのがクセになってきてんな。
あんまり言い過ぎないようにしないと。
「…それで、A。逆さにするのがダメなら、どうすればいい?」
落ち込んでいるアーサーに僕は気まずく感じていると
ふと視界にゴウセルが入り込み、彼はこてんと首を傾げながらアーサーの頭に乗っかった物体を指差した。
その行動に半分感謝、半分イライラしながらも適当に「引っ張り続ければ?」と提案してみると
ゴウセルは素直に頷いて、物体を鷲掴みにすると思い切り引っ張った。
「わ、わっ!?ご、ゴウセルさん!?」
「む、全然取れない」
しかし依然としてアーサーの頭にくっ付いたまま。
どーゆー原理かはわからんが、相当ガッチリくっ付いてるらしい。
伸びるだけで取れない物体をゴウセルは更に引っ張ると、アーサーは手をバタバタさせてもがき始め「痛い痛いっ!!」と叫んだ。
「いたたっ!ゴウセルさん、もっと優しく!」
「頑なだな」
「チーズかよ…」
こうなってくると何処まで伸びるか挑戦してみたくなってくるが、そうするとアーサーが痛がりそうなので即却下。
とりあえず適当に案を言ってしまった事にまた僕は「ごめんなさい」と心の中で謝って、ゴウセルに離すよう言ってやった。
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*IJu*(プロフ) - 如月李瑠葉さん» コメントありがとうございます! ツンデレ良いですよねツンデレ(( そんな、天災だなんて…← 僕には非常にもったいないお言葉でず…_( _´ω`)_ (2017年1月9日 12時) (レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
如月李瑠葉 - これも面白いですね!夢主のツンデレっぷりがイイ…天才ですか!? (2017年1月9日 1時) (レス) id: 5cf1189260 (このIDを非表示/違反報告)
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