彼女と涙 ページ49
ふと目を開くと、真っ白な空間に立っていた。
周りには何も無い、無の世界。
そこに僕だけぽつんと。
…いや
少し離れた所に誰かがいる。
その人は黒髪の長いお下げを垂らし、黒い服を着ていて
真っ白な地面に崩れ、声を殺して泣いていた。
こちらに背中を向けているから顔はわからないが
僕はその姿を見つけるとすぐにその人の元へと向かった。
「__リラ」
そして彼女のすぐそばで立ち止まると、僕は彼女を驚かせないように、そっと声を掛けた。
『どうし、て…どう…して』
だけれど聞こえていなかったのか、彼女はこっちを向いてくれない。
僕はもう一度、彼女に声を掛けた。
「リラ、ねぇリラってば」
『あ、ぁ…どうして、そんな…どうして…それしか…』
でも、結果は変わらなかった。
彼女は何故か反応してくれない。
僕は、怖くなった。
どうしようもなく。
目の前にいて、声を掛けても気付かない。気付かれない。
でも僕は確かに存在していて、ちゃんと彼女の名前を呼んでいるのに、気付いているのに。
大好きな彼女は、振り返ってもくれない。
どうして。
「………リラ………?
ちょっと……リラ…」
次第に僕の体は震え出し、僕は絞り出すような声で彼女の名前を呼び、手を伸ばす。
お願い、気付いてよ。
ねぇ、見えないの?聞こえないの??
僕だよ、リラ。
姿は前とは違うかもしれないけれど、キミの親友のAだよ。
ねぇ、どうして泣いているの?話を聞かせて?
昔みたいに聞いてあげるから。
抱き締めてあげるから。
アンタを安心させてあげるから。
お願い…気付いて…
嫌だ……気付いて……気付いてよ…
「気付いて…リラ……」
『私が…悪いんだわ』
あと数cm、彼女の肩に触れそうな距離まで手を伸ばしたその時
リラが震える声で、呟いた。
「…リラ?」
『私が…私が悪いのね。
私のせいで___は…あの子は…』
そして頭を抱えたと思ったら
その綺麗な黒髪をガシガシと乱暴に掻き乱した。
そんな行動、彼女が生きている間に1度も見た事がなかった。
だから、混乱した。
『私が悪かったんだわ。
私のせいであの子は、私の“欲望”のせいで…』
「え、リラ…?」
僕はどうすればいいかわからなくって、その場で立ち竦む。
ボサボサになっていく彼女の髪の毛。
だが不意にピタリと彼女は止まると、ゆっくりと振り返って、口を開いた。
『さようなら』
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ヒヨリ(プロフ) - *IJu*さん» 偶然でしたか(笑)すみません。人気にはならないけどいい曲ですよね!私も好きです。聴いて下さりありがとうございましたd(≧▽≦*) (2016年1月31日 7時) (レス) id: 2f457c2e04 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ヒヨリさん» コメントありがとうございます! いえ、ただの偶然です…まさかそのような題名の曲があったなんて…! 因みに聴いてみました!とても素敵な曲ですね(*´∀`)イラストも可愛らしいですし、最近は毎日のように聴いて歌詞を覚えています! (2016年1月31日 0時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ(プロフ) - ひとつの国のリラちゃんですか?あ、夢主ちゃんの名前の事ですw私の大好きな曲なんですけど…もしかしたら?と思いまして。良ければ聞いてみて下さいませ。(*´ω`*) (2016年1月27日 21時) (レス) id: 2f457c2e04 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ゆっくりエリー☆(・ω<*)ゞさん» あけましておめでとうございます! お餅は食べられましたか?w 因みに僕はお雑煮の時に3つ食べて以来食べていません(´・ω・`) 七大2期楽しみです!!早く皆の活躍がみたいっ…!! (2016年1月20日 18時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりエリー☆(・ω<*)ゞ - あけましておめでとうございます!お餅が食べたい私です…にしても作者様いつもいいとこで切りやがって~wコノヤロウww♪( ´∀`)σ)∀`)ウェwあ、七つの大罪アニメ二期楽しみですね! (2016年1月18日 0時) (レス) id: e070c33a98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*IJu* | 作成日時:2015年7月31日 0時