彼女の為なら【七つの大罪】part3

彼女の天邪鬼 ページ43

「……！」



アーサー王様は目を丸く見張って、まるでナイフのように突きつけられた僕の髪の毛を見た後に僕を見つめる。
その顔のなんとマヌケな事か。



「アンタ、本とか読んだ事ないワケ？？」



そんな彼に吐き捨て、口元を歪めると
僕は指先から蒼い炎を灯して、続けた。



「魔女族は悪者だよ？
人間殺しといて平気な顔をする、冷酷で残酷な、物語の悪役っ！」



それっぽく大袈裟に言ってやり、指先に灯していた蒼い炎を空中に放る。
するとソレは落ちる事も消える事もなく空中に浮き上がり、そのままゆらゆらと揺れ続けた。

そして僕が指を1つ鳴らすと空中に先程と同じ蒼い炎が現れ、それはやがて部屋中を埋め尽くした。
アーサー王様はポカンと口を半開きにしたまま部屋中を見渡す。



……どうしてこうも、素直になれないのだろうか、僕は。


本当は部屋を与えられて嬉しいはずなのに。
彼から貰った言葉が嬉しいはずなのに。

でも、その言葉が何処か妙に感じて。
心の底ではどう思っているのか、確かめずにはいられない。


だから僕は、魔女の力を見せつけるんだ。
そして人間(かれら)の知る魔女になりきって、本当に自分のそばに置いていいのか問う。

魔女族は冷酷。どんな悪い行いをしても平気な顔をする種族。
そんな悪役魔女を置いたら、一体何をされるのか。


……まぁ、実際の魔女は人間が考えるよりもずっと温厚で平和だけれどね。ちょっと物騒な魔術が使えるぐらいで悪く言われちゃって。

そんな魔術使う時なんて滅多に無いよ。
それどころか、そういう魔術は禁術として扱うくらいだ。
使ったら罰を与えられる。



「そーんな魔女(ぼく)を城に置いていいの？
何するかわかんないよ？？」



僕は見下すかのように彼を見遣り、口の端を歪ませる。


すると彼はキョトンとした顔をした後に

口元に微笑みを浮かべて元気よく答えた。



「はい、もちろんですとも！！」



＿＿＿は？

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