彼女の為なら【七つの大罪】part3

彼女の涙 ページ5

「…ホークちゃん……どうして…

……どうしてっ…！」



変わらず真っ黒な豚野郎を見て、王女(エリザベス)は涙を流すとその場に崩れた。

そばにいた団長がすぐに受け止め、彼女を支える。




「エリザベス！」

「頼む、マーガレット」



そこへ王女(マーガレット)が駆け寄り、泣き崩れる彼女を抱きしめる。


しかし悠々と歩いて迫り来る、一人のバケモノ。



「小癪な娘だ……もっと早々に殺して血を奪っておくべきだったか……」



奴はまだ、生きていた。


一気に現実に引き戻された僕達はそれぞれ武器を構え、奴を見据える。



「ふ…せっかく体が元に戻っても、最悪な状況は何も変わってないわね」

「無理だ…！こんなバケモノに勝てっこない……！」

「諦めるな…！！」



周りの聖騎士達が弱音を吐く中、ギルサンダーはそう叫ぶが
その体は小刻みに震えていた。


まぁ、そうなるだろう、人間の場合は。

何やってもケロッとしてるような奴は人間から見たら、異形な存在なのだから。



「……」



ヘンドリクセンはそんなギルサンダーを見据えると、奴に襲いかかった。

ギルサンダーは恐怖からか足が竦んで動けない。



「っ……！！？」



もう奴が目の前まで迫って来た刹那

団長はヘンドリクセンの顔面に蹴りを一発お見舞いした。


続いて腹にも一発食らわせ、奴はその場に倒れ伏せた。



「諦めんな！！」



団長は拳を握り、周りで怯える聖騎士達に呼びかけ鼓舞した。



「〈七つの大罪(オレたち)〉がいる限りっ！！」

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