彼女の羞恥 ページ39
今更だけれど……そうか、彼は王様だったんだよな…
若いし、妙に抜けてる所があるから今まであまりそんな意識は無かったけれど…
彼の国を見て、彼の城を見て、彼の部屋を見て
今、目の前にいる少年はこの国の王なのだと改めて実感する。
そう思うと変に緊張してきてしまい、背筋を伸ばし、きちんと膝に手を置いて姿勢を直した。
するとアーサー王様は一瞬キョトンとした後クスクスと笑い、肩を竦めた。
「そんなに固まらなくて良いですよ、A殿。
さっきみたいにリラックスして下さい」
「は、はい……」
彼に言われて僕は膝に置いた手の拳を解き、らしくなく貼った肩を下ろす。
アーサー王様はじっと僕の様子を見つめると、口をぽかんと半開きにしたまま今度は彼が固まった。
「…え?あ、アーサー王様…?」
「あ、ああ、いやっ、その……」
気になって声を掛けると彼は顔をほんのり赤らめ、照れくさそうにはにかむ。
そして頬をポリポリと掻き僕から目をそらすと、苦笑した。
「ふ、ふく…」
「服?」
「A殿…前とは違う服を着ていられますので…」
「…ああ、この服?」
言われて僕は両手を広げて、彼に自分の服を見せてやる。
アーサー王様はコクコクと頷くとまだ赤い顔で僕の顔を見て、ふにゃりと微笑んだ。
「は、はい!その……と、とても…A殿に……似合って…おられる、かと………」
「…」
だんだん小さくなっていく声を何とか聞いた僕は、一瞬頭の中がフリーズする。
だがすぐにボボっと顔が熱くなるのを感じると、僕は慌てて俯き、両手で顔を隠した。
コイツ…わっ、わざわざそんな恥ずかしい事言うのか!?
そんな、そんな顔真っ赤にさせるぐらいなら言わなきゃイイじゃん!!くそっ!!
でも多分僕も人の事言えない。僕の顔もアーサー王様と同じだ。
当たり前じゃん、そんなの言われた事あんまり無いんだから。
「っ……あ、り…がと」
「…!」
そのまま黙って頭を抱えて気まずい沈黙が訪れるのも嫌なので、僕は一応声を絞り出しながらそう言った。
するとアーサー王様はパアッと顔を輝かせ、やけに弾んだ声で「いえっ!本当の事なのでっ!」と笑う。
僕はその言葉に更に縮こまり、小さく唸った。
…何でコイツはそう言う事言うのかなぁ……
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ヒヨリ(プロフ) - *IJu*さん» 偶然でしたか(笑)すみません。人気にはならないけどいい曲ですよね!私も好きです。聴いて下さりありがとうございましたd(≧▽≦*) (2016年1月31日 7時) (レス) id: 2f457c2e04 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ヒヨリさん» コメントありがとうございます! いえ、ただの偶然です…まさかそのような題名の曲があったなんて…! 因みに聴いてみました!とても素敵な曲ですね(*´∀`)イラストも可愛らしいですし、最近は毎日のように聴いて歌詞を覚えています! (2016年1月31日 0時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ(プロフ) - ひとつの国のリラちゃんですか?あ、夢主ちゃんの名前の事ですw私の大好きな曲なんですけど…もしかしたら?と思いまして。良ければ聞いてみて下さいませ。(*´ω`*) (2016年1月27日 21時) (レス) id: 2f457c2e04 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ゆっくりエリー☆(・ω<*)ゞさん» あけましておめでとうございます! お餅は食べられましたか?w 因みに僕はお雑煮の時に3つ食べて以来食べていません(´・ω・`) 七大2期楽しみです!!早く皆の活躍がみたいっ…!! (2016年1月20日 18時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりエリー☆(・ω<*)ゞ - あけましておめでとうございます!お餅が食べたい私です…にしても作者様いつもいいとこで切りやがって~wコノヤロウww♪( ´∀`)σ)∀`)ウェwあ、七つの大罪アニメ二期楽しみですね! (2016年1月18日 0時) (レス) id: e070c33a98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*IJu* | 作成日時:2015年7月31日 0時