彼女の戸惑い ページ38
「…ちょっと落ち着いてくれる?
あと、顔近い」
さっきとは違い、上擦った変な声で言葉を発するアーサー王様の顔を1度離し、僕は溜息を吐く。
アーサー王様はすぐ僕の手を離すと「すっ、すみませんっ!」と謝って背筋を伸ばす。
…この人、大丈夫かな。
「…別に、そう言う意味じゃないの。
そこは一応言っとく」
「あ……そ、そうなんですね…」
とりあえず先日の戦いの最中に交わした約束を果たしに来たわけではないので、そこは最初に断っておいた。
すると彼は肩を落胆させ、あからさまに落ち込んだような顔をしてから苦笑した。
「で、では
「……」
キョトンとした顔で彼に尋ねられ、僕は彼から目をそらす。
さて…どうしようか。
別に明確な理由は無い。
ゴウセルには『気まぐれ』なんてはぐらかしたけれど、本当はあるんだよ、一応。フワフワした曖昧な理由が。
だけどそれを正直に話すのもどうかと思う。
だってソレはただの僕のワガママだから。
「…」
「…あっ、その前に中に入りましょうかっ!
話はそれからゆっくり聞く事にしましょうっ!」
言うか言わないか、僕の中で迷い黙り込んでいると
アーサー王様は気を使ってかニコッと笑ってそう言うと、戸惑う僕の背中を押して城門を潜らされた。
後ろの護衛2人は顔を見合わせ、僕とアーサー王様を不思議そうに見つめた。
−−−
城の中には豪華絢爛な調度品があちこちに飾られ、場内を見渡す僕は流石と思った。
時々すれ違う召使い達の視線を受けながら僕はアーサー王様の後ろにぴったりついて行くと、彼はとある部屋の扉を開き「ささっ、どうぞ!」と扉を開けて僕に中に入るよう促す。
その姿は王様と言うより執事の方が似合ってる。
少し呆れながらも中に入ると、如何にも王様らしい部屋だった。
広い室内。天蓋付きのベット。そして上質であろう家具の数々。
アーサー王様も遅れて中に入ると慣れた様子で窓際にある椅子まで僕を案内し、座らせられる。
そして彼も円型のテーブルを挟んで向かいにあるもう一つの椅子に腰掛けると、人懐っこい笑みを浮かべて僕を見つめた。
「…えっと、此処は…」
「此処は私の部屋です」
「ですよね…」
薄々予想してはいたが、どうやら此処は彼の部屋のようだ。
僕はそれを聞くと途端に何だか緊張してきちゃって、思わず背筋を無駄にピンと伸ばした。
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ヒヨリ(プロフ) - *IJu*さん» 偶然でしたか(笑)すみません。人気にはならないけどいい曲ですよね!私も好きです。聴いて下さりありがとうございましたd(≧▽≦*) (2016年1月31日 7時) (レス) id: 2f457c2e04 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ヒヨリさん» コメントありがとうございます! いえ、ただの偶然です…まさかそのような題名の曲があったなんて…! 因みに聴いてみました!とても素敵な曲ですね(*´∀`)イラストも可愛らしいですし、最近は毎日のように聴いて歌詞を覚えています! (2016年1月31日 0時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
ヒヨリ(プロフ) - ひとつの国のリラちゃんですか?あ、夢主ちゃんの名前の事ですw私の大好きな曲なんですけど…もしかしたら?と思いまして。良ければ聞いてみて下さいませ。(*´ω`*) (2016年1月27日 21時) (レス) id: 2f457c2e04 (このIDを非表示/違反報告)
*IJu*(プロフ) - ゆっくりエリー☆(・ω<*)ゞさん» あけましておめでとうございます! お餅は食べられましたか?w 因みに僕はお雑煮の時に3つ食べて以来食べていません(´・ω・`) 七大2期楽しみです!!早く皆の活躍がみたいっ…!! (2016年1月20日 18時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっくりエリー☆(・ω<*)ゞ - あけましておめでとうございます!お餅が食べたい私です…にしても作者様いつもいいとこで切りやがって~wコノヤロウww♪( ´∀`)σ)∀`)ウェwあ、七つの大罪アニメ二期楽しみですね! (2016年1月18日 0時) (レス) id: e070c33a98 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*IJu* | 作成日時:2015年7月31日 0時