彼女の為なら【七つの大罪】part3

彼女の新衣装 ページ21

「………ん……」



ふと目元に光を感じ、僕はまだ重い瞼をゆっくりと開いた。

霞んでいた景色は次第にハッキリと輪郭がつき、色も鮮明に理解出来るようになっていく。


目の前にはランタンのぶら下がった木の天井。

周りにはゴタゴタと物が置かれ、壁には真っ白な変わった服が掛けられていた。
御丁寧に靴まで揃えてある。

頭上には本棚があり、そこには様々な本が乱雑に入れられている。


…本はもっと大切に使うべきだ。



「………あれ…？」



“部屋”を見渡している内にだんだんと頭もハッキリし始め、ふと可笑しい事に気付く。


………何で僕、物置にいるんだ…？


だって僕は確か眠る前、森の中にいたはずだ。

それなのに、起きたら何故か此処にいた。


………ワケがわからない。


あの森の中は夢だったとでもいうのか？
それとも寝ている間に瞬間移動術でも使った？



「……」



僕は少し考えてから起き上がり、頬を引っ張った。
するとすぐに痛みを感じ、これは夢ではないと認識する。


次に僕は立ち上がると恐る恐る下に続く梯子を覗き込む。

だが下に人はおらず、とても静かだった。



……いや、微かに賑やかな声が聞こえる。



もしかして団長達……？



「………」



また少し考えて僕は意を決すると、そこから下の階へ飛び降りた。


……とりあえず、皆の所に行ってみよう。

そしたら、何かわかるかも。



−−−



下へ下へと向かうと賑やかな声は大きくなっていき
一番下に辿り着くと、そこには〈七つの大罪〉が集結していた。



「おー、起きたかA！」



一番初めに団長が僕に気付くと、懐っこい笑みを浮かべながら声を掛ける。


……何か、服装が違うんだけど。



「あーー！Aも新衣装(コスチューム)着てないっ！！」



次に口を開いたのはディアンヌで
彼女は窓から中を覗き、僕の格好を見て眉を顰めた。


……新衣装(コスチューム)…？



「部屋に掛かっていただろう？
真っ白い服と靴」

「あー……」



話がよくわからなくて首を捻っていると、キングが欠伸をしながらそう補足してくれた。

彼の服装はあまり変わっていないが
唯一変わっているとしたら、フードの部分に変な兜がついている。


……って、あの服が僕の新しい服なの？

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