○君との出会い○ ページ1
小さい頃…と言っても大体小学生の高学年
新しい家、新しい環境に慣れ始めてきた頃の、彼との出会いのお話。
−−−−−
その頃から私はもういじめられていた。
でもその理由はまだわかってなくって、辛く苦しい日々が続いたの。
だからかな…その苦しみから逃れたくなって
家から抜け出そうとしたのは。
久しぶりの外の世界はとても気持ち良くって。
空を見上げながらずっと走って風を感じていたの。
前に人が歩いていた事に気が付かないくらい。
『きゃっ?!』
『うわっ!』
その時、私は1人の少年とぶつかってしまったの。
勢いが良過ぎて、私は尻餅をついた。
『いったぁ…』
『大丈夫?』
少年は心配そうな表情をして私に手を差し出した。
その頃の私はまだ人の怖さがわかっていなかったから、その子の手をとったの。
『…ごめんなさい…!』
私は彼に頭を下げて謝った。
『私外出るの久しぶりで…つい、はしゃいじゃって…ごめんなさい…』
そう言うと頭を上げて、今度は彼の顔を見て謝った。
そうしたらその子は目をパチクリさせて私を凝視した。
『…君、自由に外出れないの?』
『あ…お父様、厳しい人…だから…』
話しながら私は苦笑した。
『じゃあ、抜けて来たの?』
『うん…別に問題無いと思う』
私は無理矢理微笑んだ。
少年は目を細め、悲しそうな表情をしていた。
『じゃあ…ね。本当ごめんね?』
私は早くその場を離れたくて、また走り出そうとした
『___別に、そんな事ないと思うけど』
その時、彼は確かにそう言った。
1歩前に出しかけた右足を引っ込め、彼を見た。
『君がいなくなったらきっと皆、心配する。
きっと皆、悲しくなる』
彼は私に歩み寄り、話を続けた。
『家族を心配させちゃ…悲しませちゃダメだよ。
だから…帰った方がいいと思うよ』
今思えば、どうして彼のこの一言で私は『帰りたい』と思ったのか。
私は踵を返し、少年に背中を向ける。
『…君…名前、なんて言うの?』
『俺は狃嵬敞賛有瓠
『またたぎ…はやと』
初めて彼の名前を口にした瞬間だった。
『…明日も此処に来てくれない…かな?』
『明日も?』
『う、うん…ダメかな?』
『ううん、いいよ』
私は彼の言葉に微笑むと、来た道を引き返す。
どうしてぶつかった人にこんな約束をしたのか
今の私にはわからない。
だけど、彼の名前を初めて言った時の
胸の高鳴りは、覚えてるんだ。
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くにとび(プロフ) - こんばんは~ (2014年9月11日 20時) (レス) id: 8081e2eb22 (このIDを非表示/違反報告)
美薫(プロフ) - 続編おめでとう御座います(T_T)更新、楽しみに待ってます(`∇´ゞ頑張って下さい(^o^)/ (2014年6月23日 22時) (携帯から) (レス) id: c09d542fe6 (このIDを非表示/違反報告)
狩屋ハルカ - 続編おめでとうございます!応援してます!頑張ってください! (2014年6月23日 16時) (レス) id: b968f3be84 (このIDを非表示/違反報告)
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