辻 427 ページ10
何の冗談か、イドラが指したそこはただの壁だった。
ああ、そう。ただの真っ赤な壁。
扉なんてものは無く、何も飾られていないただの壁。
これには俺もどうリアクションを取っていいかわからず、倉間の眉間の皺が深く刻まれていく。
「っ……オイ、テメェっ！！俺達をからかってんのか？
それとも…なんだ？壁にめり込んで寝ろって言うのか？！」
「ヤダな〜、そんなワケないじゃない」
痺れを切らした倉間が彼女を怒鳴り散らすがら対してイドラは涼しい顔をしてそんな事を言ってのけた。
ﾍﾗﾍﾗと笑うイドラに倉間は更に怒鳴ろうとしたようだが
その前に俺が何とか落ち着かせて、とりあえず喉元にまで留まらせておいた。
「壁にめり込んで寝るのは流石に身体に悪いもんね。僕だってバケモノだけど鬼ではないし、そこまで
……………僕はね」
「ふざけてるだろ、お前………」
両手を広げて『やれやれ』と袖を振る彼女の姿は、どう見ても倉間を煽っているようにしか見えない。
と言うよりは、何だかこの展開を楽しんでいるような無邪気さまで感じる。
とりあえず彼女の冗談はここまでにして、俺達の部屋を案内するよう言ってみたら
彼女はｷｮﾄﾝとした顔をして「だから此処だってば」と何も無い壁を指し示した。
「…オイ、そろそろ冗談抜きにしないとマジで怒るぞ？」
「ま、まぁまぁ倉間…」
「本当だってば、倉間。
今から此処をキミ達の部屋にするのさ」
「…………は？」
彼女の言葉に俺達は耳を疑った。
と言うより意味が分からないというか…
つまり…今からこの壁を壊して、1から部屋を作って事だろうか？
それとも能力を駆使してこの壁の向こうを部屋に創り変えるのだろうか？
そう言えば…初めてこの館に訪れて風丸さんと一瞬部屋に閉じ込められた時、入る前と入った後で扉の向こうの景色が一瞬で変わっていた事があったな。
アレはきっと人には出来ない芸当だ。
それこそ非科学的な能力でも持ち得ない限り、あんな手品みたいな事出来るとは思えない。
……まさかアレは彼女の仕業なのか？
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＊IJu＊(プロフ) - ゆきうさぎさん» コメントありがとうございます！続編来てしまいした…()これからも亀更新ですが、頑張らせて貰いますー！！ (2018年8月11日 2時) (
レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきうさぎ - 続編おめでとうございます！！楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2018年8月10日 15時) (レス) id: dea74ddfb3 (このIDを非表示/違反報告)
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