辻 430 ページ13
「…本棚が、欲しいな。小さくっていいから」
「本棚？霧野、本読むの？」
「ああ…物語は好きだから」
「ふふっ、実は僕もなんだ。霧野とは気が合いそうだね」
イドラは俺との意外な共通点を言いながら二つ返事で了承してくれると、少しの間部屋を歩き回って
「コレをちょっと創り直そうかな」とベット近くのミニテーブルに歩み寄ると、徐に真っ黒な左手で触れた。
忽ちそのミニテーブルは跡形も無く消えて無くなり
直後に何も無くなったその空間に右手を翳した。
すると今度はそこから一瞬で、先程とはデザインも形も違うウッドラックが現れた。
縦長の長方形型で3段に分かれ、1番上の段に先程のランプが置かれていた。
「大きさはこれぐらいでいいかな？」
「ああ、ありがとうイドラ」
「これぐらい、お安い御用だよ」
まだ見慣れない彼女の能力に驚きつつも、素直に礼を述べると、イドラは何処か嬉しそうな顔をしながら得意気にそう言った。
「他には？」と彼女に尋ねられたが、特に足りない物は思い浮かばず、とりあえず今は大丈夫だと伝えるとイドラは「そっか」と頷いた。
「まぁ、他に何か必要な物があったらいつでも言ってよ。創ってあげるから」
「わかったよ、イドラ。…色々ごめんな」
「僕達はもう仲間だもん。これぐらい当然だよ」
ﾆｺﾆｺとマスクの下で上機嫌に微笑みながらそう言うと、イドラは部屋の扉に向かいながら「じゃあ、一休みしたら僕の部屋においで」と告げた。
そうして彼女は部屋から出て行くと、残された倉間は盛大に溜息を吐いてからｸﾞﾁｸﾞﾁと文句を言い始めた。
「なんなんだよ、あの野郎…人の事からかいやがって……俺より身長低いクセに……」
「ま、まぁ悪いヤツじゃなかったろ？」
「アレの、何処が」
俺はそんな倉間を宥めるが、どうも気に食わないらしい。
もう一つ溜息を吐いてから、彼は部屋の奥の方の壁際のベットに向かった。
そうして彼はベットを睨むように見下ろし、ﾍﾟﾀﾍﾟﾀとあちこちに触れたり、押したり、下を覗いたり。
…多分、何か変な細工とかされていないか疑っているんだろう。
だが何も異常が無いと確認すると、彼はそっとベットに腰掛け、そのまま力無くﾊﾟﾀﾘと横に倒れ呟いた。
「…………ま、悪くないな」
……どうやらベットはお気に召したらしい。
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＊IJu＊(プロフ) - ゆきうさぎさん» コメントありがとうございます！続編来てしまいした…()これからも亀更新ですが、頑張らせて貰いますー！！ (2018年8月11日 2時) (
レス) id: 3241b35fe8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきうさぎ - 続編おめでとうございます！！楽しみにしています！これからも頑張ってください！ (2018年8月10日 15時) (レス) id: dea74ddfb3 (このIDを非表示/違反報告)
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