▼超ロングパス ページ32
次の瞬間、彼はゴールから飛び上がると新必殺技を披露してみせた。
竜巻の力を借りて上からシュートを押さえつけると
井吹君は見事、ボールを止めてみせたのだ。
天馬「新必殺技だ！」
神童「アイツ…この土壇場で」
信助「やったね井吹！凄い！凄いよ！！」
A「ちぇ…止められちまったか」
この状況での彼の新必殺技には皆嬉しそうな反応を示し、Aも悔しそうに唇を尖らせた後、口元を綻ばせた。
これは反撃のチャンスだ…！
井吹「よぉし、このまま一気に…！」
井 調子が出て来た様子の井吹君は口元に笑みを浮かべながら、ボールを繋ごうとグラウンドを見渡す。
しかし前線の味方には既にマークがついており
下手にボールを投げたらボールを奪われかねない状況となっていた。
井吹君はソレを確認して、一瞬困ったような顔をしたが
1つ深呼吸を直後、ﾆﾔﾘと口端を不敵に歪めた。
皆帆「…？」
A「何やってんだ、アイツ…？」
井吹君は何を思ったのか、次の瞬間
片手でボールをバウンドさせ始めたのだ。
それはまるでバスケのドリブルのように。
最初の最初、本当に僕達アースイレブンの闘いが始まった時に見せたような、華麗なドリブル。
………ふざけてるワケでは、無さそうだけど………
鉄角「井吹！またアイツ…！」
神童「いや…あれでいい」
鉄角「なんだって…？！」
井吹君の唐突の行動にアースイレブンの皆も困惑を隠せない。
ただ1人、神童君だけは彼の目的を汲み取れたのか
いつもなら咎める所なのに彼の自由にさせていた。
……目的があるのだとしたら、それは一体……
ｶﾞﾝﾀﾞﾚｽ「…ふざけてんのか？アイツ…」
その理由はすぐ明らかになる。
神童君のマークについていた、ガンダレスとか言う黒い頭の人も井吹君の行動に疑問を持った。
その瞬間に出来た一瞬のスキを、井吹君は見逃さなかった。
直後に井吹君はバウンドをやめて踏み込むと
意図を汲み取った神童君がマークを外れて駆け出した。
井吹君は高く、ゴールポストよりも高くジャンプすると
まるでそのままダンクシュートでも決めるかのように、神童君に狙いを定めた。
井吹君の脚力と、バスケならではの動きが融合した、超ロングパスだ。
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