○涙を止めて○ ページ41
「………え……？」
Aを抱き締めると彼女の泣き声は止まり、同時に彼女は固まった。
そんな彼女の頭を俺は撫でてやり、彼女を落ち着かせる。
本で見た、泣いている人間をあやす方法だ。
こうすると人間は涙を止め、やがて笑顔になってくれる。
「なっ…な、何、してるのゴウセル…！？」
しかし、彼女の場合は違った。
Aは慌てた様子でそう言うと俺の腕の中でもぞもぞと動き出し、俺の手から逃れようとする。
「お前の涙を止めようと思った」
だが俺は彼女を逃がそうとはしなかった。
彼女が笑顔になるまで、逃がしはしない。
「嫌っ…！ゴウセル、離してっ！！」
「何故だ？」
「移っちゃうかもしれないからっ！
ゴウセルまでこんな姿になりたくないでしょ？！」
「それはそれで興味がある」
「興味あるのっ…？！」
正直に言ったら何故か驚かれてしまった。
Aは『あり得ない』とでも言いたげな顔で俺を見つめた後
すぐハッと我に返ったように俺の腕の中で動き出す。
「で、でも……私が嫌なの！
ゴウセルが…ゴウセルが、私みたいになっちゃうのは…嫌！！」
「だが、そうなるとは限らないだろう？」
「…そりゃあ……そう、だけど…」
Aは暴れるのをやめ、ワンピースの裾を強く握りしめて俯く。
俺は彼女を抱き締める力を強くし、背中を少し丸めて彼女の頭に顔を寄せる。
「……ゴウセル、」
「どうした、A？」
「ゴウセルは……気持ち悪く思わないの？
私の、こんな姿を見て……」
今にも消え入りそうな声でAは言うと、フルフルと肩を震わせる。
俺は彼女の頭を撫でながら、これも正直に答えた。
「いいや、思わない」
「…本当？
変わってる、とか…バケモノ、とか……そうも思わない？」
「いや、少し他者とは変わっている見た目だとは思った」
「だ…だよ、ね…….」
するとAは肩を落とし、悲しそうな顔をした。
しかし俺の言葉は此処で終わりでは無い。
「だが、バケモノだとは思わない」
「…どうして？」
「Aは人間だからだ」
彼女は前に、自分をバケモノと言っていた。
だが、それは違う。
Aはバケモノなんかじゃない。
Aの周りが勝手にバケモノと呼んだだけの事。
だから、彼女はバケモノなんかじゃない。
ただ病気を持ってしまっただけの
普通の人間の少女だ。
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鹿野伊愛(プロフ) - むり。この物語好きすぎて無理しにそう。神か、神なのかあなたは (2016年9月21日 15時) (
レス) id: 4b8e363bf2 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - みょんさん» コメントありがとうございます！！ め、目から塩水っ……？！そんな、僕の書く小説は人体に危険を及ぼすものだったのk(((( ですよね、ゴウセル可愛いですよねっ！！(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) 更新頑張ります(｀･ω･´) (2015年8月14日 0時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - 綺水。さん» 初めまして、コメントありがとうございます(((o(*ﾟ▽ﾟ*)o))) いやいや、そんな、ゴウセルのキャラブレブレな気がするのですが……orz 更新、頑張ります！！ (2015年8月14日 0時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
＊IJu＊(プロフ) - アヤさん» だよね、ゴウセル可愛いぃぃぃい((( しかし僕はその可愛さを伝えられていないぃぃぃいいい(((゜Д゜；)))← (2015年8月14日 0時) (レス) id: b02a163c50 (このIDを非表示/違反報告)
みょん - い……目から塩水が……←とっても感動しました！ゴウセル可愛い(更新(頑張って下さい！ (2015年8月13日 0時) (レス) id: ecb616bc75 (このIDを非表示/違反報告)
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