サッカーと大罪人とお好きな松とヒーローと【短編集】2 (ページ10)

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共犯者【霧野】ページ10

「やぁ、待ってたよ」

目の前の扉が開き、そこから出て来た少女は俺を見るとにこりと微笑む。
そして視線を俺より少し下に向けて、先程とは違う柔らかな笑みを浮かべた。

「こんにちは！またおやつ食べに来ちゃった！！」

「こんにちは」

俺と手を繋いだ幼い子供も太陽のような笑顔を浮かべ、キラキラとその黄色い瞳を輝かせた。
それを見て少女は微かに目を細める。

屋敷に入るよう促され、俺達は彼女の半歩後ろをついて行く。

やがていつも通りリビングに着くと、彼女は俺達をソファに座らせ紅茶を注ぐ。
そして向かいの椅子に座るとじっと俺の顔を覗き込んだ。

「…」

「おねーさん、どうしたの？」

「ああ…ごめんね。
相変わらず、キミは綺麗な瞳をしているな…って」

微笑みを絶やさずそう言われ、思わずゾッとした。

子供は俺と少女を交互に見つめると首を傾げて、彼女に注がれた紅茶を飲む。

「少年、お味はどうかな？」

「うん！すっごく美味しいよ！！

……ただ…ちょっと……眠く、なって…」

瞬間、子供は横に倒れて規則正しい寝息を零し始める。

それを見て少女はニタリと笑みを浮かべると、子供の元へ歩み寄った。

「ふふふ、ちょっと甘い物を与えただけで、子供ってすぐ警戒心解いちゃうんだから。単純だよねぇ…」

「…」

「今回もお疲れ様、霧野」

ポンと彼女に軽く肩を叩かれると、彼女は子供を横に抱く。

その表情はニタニタと不気味な笑みを浮かべていて、正直気持ち悪かった。

「…俺が運ぼうか？」

「いいや、大丈夫だよ。

……それとも、キミも私の〝コレクション〟の仲間入りしたい？」

それでも女性に人を運ばせるのは、と思い彼女にそう言ってみると、彼女はニヤッと笑って俺の目を覗き込んだ。

彼女の真っ赤な瞳に、俺が映る。

「…冗談だよ。
キミの場合〝目玉〟だけじゃダメなんだ」

暫く見つめて、クスッと笑うと彼女はそう言って微笑んだ。

俺はその優しげな微笑みに、つい見とれてしまう。

「じゃ、ちょーっと待っててね。
この子が寝てる間に〝全部終わらせてくる〟」

そう言うと彼女は子供を抱いたまま、部屋を出て行った。

俺はその背中を見送ってから、紅茶に口を付けた。

「(やっぱり理解出来ないなぁ…

アイツの趣味)」

そして、微かに聞こえる子供の叫び声を聞きながら優雅にお茶を楽しんでいる自分も

到底、理解出来そうにない。