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「(げぇ……やっぱり鉢合わせるのか……)」
思わず顔を顰めてしまったかもしれない。
いや、もう何なんだろう。本当によく会うよな私達。
最早運命の何とやらなんじゃないだろうか。
とりあえず手を握ってしまったので、彼の力を借りて立ち上がる。スカートに付いた埃を払っている間、沙明はずっとしおらしい顔で「ぼんやりしてて」とか「前見てなくて」とか何故か言い訳ばっかりしてた。
……なんか、いつもの沙明じゃなくて違和感。
いやでもこれぐらい大人しい方が有難いかも?
「ううん、私も考え事してて前見てなかったから。ごめんね」
「あ、おぅ……」
「……?」
いや大人し過ぎるだろ。
いつもならもっと突っかかってツッコんでドン引きするような下半身発言する所なのに。
何その反応?何その顔??
なんでそこでモジモジして目をそらす??
予想の斜め上なリアクションばっかりで、私は戸惑いを隠せない。思わず見つめてしまうと沙明はそっと目だけで私を見て「……なんだよ」と微かに眉を顰めた。
「いや……なんか……沙明、変だから……」
「ハァ?!誰のせいだと思ってんの?!」
「あ、やっぱ私かぁ……」
一瞬、もしや沙明がグノーシアなのでは…?と思ったが違った。やっぱ食堂でのアレのせいかぁ。
……いや、そんな事で?そこまで動揺する?
沙明だって今まで散々私のこと口説いて触れて消してヤッたやん。いやこの沙明は知らんだろうけど。
その沙明がまさか、あんな事でこんなにもしおらしくなるとは思わなかった。
お前、さてはDTか?
それとも今の今まで女の子にまともに相手されなかった悲しき男なのか?ンなバカな。
「ま、まさかお前が……人前であんな事、するヤツだとは……思わなかったから」
「いやいや、それがするんだなぁ〜!
だってしゃ〜みん♡だもんネ」
「っ…!!」
なんか今までにない沙明の反応が可笑しくて可笑しくて。つい猫撫で声で呼んだら沙明、分かりやすく動揺してて本当に面白かった。
こんな沙明見れるなら毎ループやってもイイな。
毎回口説かれるこっちの気持ちを思い知れってんだ。
「____それって、どーゆー意味だよ?」
「…はい?」
いやぁ、しかし何事も調子に乗り過ぎてはいけないね。
今この瞬間、沙明の何かのスイッチを押してしまったようだった。
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