検索窓
今日:25 hit、昨日:6 hit、合計:5,860 hit

ページ46

「っ……じ、ジナは、逆にいいの?お、俺と……は、ハグ、するの……」



恥ずかしい。今すぐ宇宙に放り出して欲しいぐらい恥ずかしい。

でも気になる所は気になるので、素直にジナに尋ねてみると、ジナはキョトンとした顔をした後、小鳥のようにクスクス笑った。



「うん、いいよ。Aなら」

「へっ……?」

「だってAは、沙明じゃないから」

「あ…………うん…………」



……そりゃ沙明と比べたらそうなるわな。

あービックリした。いや別に期待とかしてないし。一瞬「お?」ってなったりとかしてないし。期待してないし(2回目)


ま、とりあえず……ジナは俺とハグするのが嫌ではないらしい。そこはちょっと安心した。



「い……嫌、じゃ…ないんだ」

「うん」

「そ、そっか……へぇ……そっかぁ……」

「……」

「……」

「……ハグ、する?」



どこか擽ったい沈黙の後、ジナはそう言って再び腕を広げた。

俺は目を見開いて「えっと」とか「その」とか暫く言えなくて。オロオロしてたけど、意を決して頷くと、そっとジナに近付いて、彼女の腕の中へ。


ジナは俺の背中に腕を回すと、トントンと優しく叩いてくれた。心地好いリズムと人のぬくもり。首の後ろで鈴を転がしたように笑うジナの声に、さっきまですっかり冴えていたはずの俺の瞼が重くなっていく。

あぁ〜……マズイ。このままじゃ、眠ってしまうかもしれない。そうなったら流石に迷惑だろう。
そうは思うが、俺の体は言う事を聞いてくれなくて。離れようとしているはずなのに、ちっとも動こうとしない。それどころか俺もジナを抱き締めて、彼女の首に顔を埋めていた。



「(ジナの匂い……めっちゃイイ……あんま嗅いだら変態って思われるか……

つか…………マジで…………ねみぃ……………)」



意識がだんだんと遠くなる。
こんな夢みたいな事してるのに、どんどん薄れて、微睡んで。抗え難くなっていく。

そうして遂に俺は、意識を手放した。



−−−



「……どう、しよう」



Aが眠った後、ジナは呟く。

彼女が思っていた以上に彼は疲れていたらしい。
まさかこんなすぐ眠ってしまうとは思わなかったジナは、それでも尚トントンと背中を叩きながら困ったように呟いた。



「どう、しようかな」



再び呟く。

だがその言葉とは裏腹に
彼女は、どこか嬉しそうに笑っていた。

この小説の続きへ→←*



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
32人がお気に入り
設定タグ:グノーシア , 短編集
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:*IJu* | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2023年8月5日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。