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「っ……じ、ジナは、逆にいいの?お、俺と……は、ハグ、するの……」
恥ずかしい。今すぐ宇宙に放り出して欲しいぐらい恥ずかしい。
でも気になる所は気になるので、素直にジナに尋ねてみると、ジナはキョトンとした顔をした後、小鳥のようにクスクス笑った。
「うん、いいよ。Aなら」
「へっ……?」
「だってAは、沙明じゃないから」
「あ…………うん…………」
……そりゃ沙明と比べたらそうなるわな。
あービックリした。いや別に期待とかしてないし。一瞬「お?」ってなったりとかしてないし。期待してないし(2回目)
ま、とりあえず……ジナは俺とハグするのが嫌ではないらしい。そこはちょっと安心した。
「い……嫌、じゃ…ないんだ」
「うん」
「そ、そっか……へぇ……そっかぁ……」
「……」
「……」
「……ハグ、する?」
どこか擽ったい沈黙の後、ジナはそう言って再び腕を広げた。
俺は目を見開いて「えっと」とか「その」とか暫く言えなくて。オロオロしてたけど、意を決して頷くと、そっとジナに近付いて、彼女の腕の中へ。
ジナは俺の背中に腕を回すと、トントンと優しく叩いてくれた。心地好いリズムと人のぬくもり。首の後ろで鈴を転がしたように笑うジナの声に、さっきまですっかり冴えていたはずの俺の瞼が重くなっていく。
あぁ〜……マズイ。このままじゃ、眠ってしまうかもしれない。そうなったら流石に迷惑だろう。
そうは思うが、俺の体は言う事を聞いてくれなくて。離れようとしているはずなのに、ちっとも動こうとしない。それどころか俺もジナを抱き締めて、彼女の首に顔を埋めていた。
「(ジナの匂い……めっちゃイイ……あんま嗅いだら変態って思われるか……
つか…………マジで…………ねみぃ……………)」
意識がだんだんと遠くなる。
こんな夢みたいな事してるのに、どんどん薄れて、微睡んで。抗え難くなっていく。
そうして遂に俺は、意識を手放した。
−−−
「……どう、しよう」
Aが眠った後、ジナは呟く。
彼女が思っていた以上に彼は疲れていたらしい。
まさかこんなすぐ眠ってしまうとは思わなかったジナは、それでも尚トントンと背中を叩きながら困ったように呟いた。
「どう、しようかな」
再び呟く。
だがその言葉とは裏腹に
彼女は、どこか嬉しそうに笑っていた。
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