グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ43)

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キランソウが開くまで【ジナ】ページ43

「えぇっと…セツとジョナスがエンジニアでバグは無し。ドクターは…今回いたっけ？あぁ、違う。俺がドクターだわ。で、さっきコメットを調べたけどグノーシアの反応は無し。で、セツがラキオを白って言ってて、ジョナスはシピを黒って…」

食堂にて。ブラックコーヒーを飲みながら、今日の議論を1人振り返る。

しかしここ最近、色々起き過ぎてまともに休んでいないから、考えが上手く纏まらない。

いや……つか、ループし始めてからまともに休んでないと思う。

いや休めるかよ。こんな状況で。
ループってなんだし。〝銀の鍵〟ってなんだし。
どうして俺とセツがループしているんだろう？

毎日毎日、同じようなメンバーで同じような議論して。時々イベントがあって情報手に入れたり、時には自分がグノーシア側になったり……

心安らいだ時間と言ったら、この間のループで議論バックレてセツと釣りした時ぐらいだろうか。

「……アレ？ジョナスがラキオを調べたんだっけ？セツがシピを調べたんだっけ？いや、そもそもシピだったっけ……？ククルシカ……は、前のループで誰かが調べてたから違う……いや、今回もククルシカが調べられたんだっけ？」

……やっべ、考えてたら前のループとごっちゃになって来た。

考えを整理する為にも、俺は残っていた生ぬるいブラックコーヒーに口を付ける。最初は砂糖とミルクを入れないと飲めなかったはずなのに、いつの間にかこの味にも慣れてしまった。

慣れてしまったせいで、目覚まし代わりに淹れたはずなのに全然効果ナシ。何か考えていないとこのまま眠ってしまいそう。

でもまだ眠るワケにはいかない。
今日仕入れた情報を整理して、明日の議論に役立てなきゃ。

コーヒーで覚めない眠気を頭をブンブン振って振り払う。一息吐いて、ゆっくり頭を上げたその時だ。

2つの、色の違う瞳と目が合った。

「あ、気付いた」

「………っ！？」

いつの間にか向かいの席に人が座っていたようだった。

その人と目が合って数秒の間を置いてから、俺は思わず後ろに仰け反る。ビックリし過ぎて声も出なくて、ただただ目を見開いていたら、彼女は微かに口元に笑みを浮かべた。

「じっ……ジナ……？」

「うん、そう。ジナ」

まるで悪戯が成功した時の子供のように笑うジナに俺は今更平然を装った。椅子に座り直して姿勢を正すと、また彼女に笑われてしまい俺の顔に熱が集中するのを感じた。

……あ、でも今ので少し眠気が覚めたかも。