グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ42)

今日:24 hit、昨日:6 hit、合計:5,859 hit

＊ページ42

Aはふぅ、と息を吐くと「おはよう」と振り返る。
そんな彼女の額にキスをすると、Aもお返しとばかりに俺の頬にチュッと口付けた。

「ん…今日は沙明が早いんだね」

「あー……ちょっとンーフーな夢見ちまってな。興奮してお目目がパッチリ」

「…………浮気？」

「オイオイ、夢の中でも浮気は絶対許さないってか？
束縛激しい〜、まァその夢にAが出てたんですケド？」

嘘は言ってない。だってAが出たのは本当だもんな。

Aもそう説明するまでは厳し〜目付きで俺を見ていたけど「まぁ、それなら……」とそっぽを向いた。素っ気ないけど耳は正直でな。赤くなってたぜ。

それがまた可愛くて。堪らなくて。
俺は思わずその耳にチュッとベーゼを落とす。

耳が弱い彼女はビクッと身体を反応させ、無言で俺の肩を押して仰け反った。

「……そう言えば、今日朝早いんじゃなかったっけ、沙明？」

「あぁ、そろそろ出ねーとヤバいかもな」

「………えっ」

「それよりA、朝メシ何にする？」

「いやもっと慌てて？？」

……あーぁ、急に現実突き付けられた。
本当は1日中、こうしてゴロゴロしながら、あわよくばンーフーンしたかったのに。

俺の代わりに慌て始めたAは、俺の腕の中から出ようともぞもぞ動き始める。でも俺はそんな彼女を抱き締め阻止すると、彼女は「沙明？！」と振り返った。

「き、今日大事な会議があるんじゃなかったっけ？！それに新しく来る職員の人に挨拶をっ…」

「イイじゃねーか、別に。もう少しのんびりしようぜ」

「いやダメでしょ！？それじゃ沙明が……」

「じゃ、もう少しこうしていたい……ってーのじゃ、ダメ？」

「っ…！？」

さっき見た夢のせいもあるんだろうか。
今日は彼女と離れたくない気持ちがより一層強くて。
つい我儘を口にする。

ついでに彼女の唇を奪う。
軽く吸い付いて、何度も何度もキスをして。
少しして離れるとAは顔を真っ赤にさせて大人しくなった。

「……………あと5分だけだよ」

「ん、」

俺の願いを聞き、Aは呟くようにそう言ったので俺は遠慮なく彼女の胸に顔を埋める。

そうしたらAは俺の頭を撫でてくれた。
細い指で俺の髪を梳くように撫でられ、気分はヘブン。

あーヤベ…もう此処に住みてぇ……

「(Aが例えグノーシアだったとしても、それでもイイわ。

Aと一緒にいられるなら、それで)」

いつの間にか、夢の内容はもう忘れていた。