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「……」
「……すぅ……すぅ……」
何の疑いもせず彼女は僕の手を握り締めると、少ししてまた寝息が聞こえた。
涙も止まり、表情もすっかり安心し切った顔だった。この僕の手をセツのモノだとでも思っているンだろうか。
……そうだったら、どれだけ良かっただろう。
「(全く……人がどんな思いで守っているのかも知らないで。
そうして守れなかった時の気持ちも知らないで)」
僕なりにグノーシアの思考パターンについて考え、守ったつもりだった。しかし、狙われなかった。こうも続くと正直言って今日もあまり期待はしていない。
どうやら、グノーシア連中も随分と捻くれ者らしい。
でも大体の目星は付いている。明日の議論で白黒付けてやろうじゃないか。
「いいだろう。それまでせめて君が夢を見る事なく安心して眠れるように。この僕が守ってあげるよ」
らしくもなくそんな事を口にすると、心做しか彼女の表情が柔らかくなった気がした。
そんな彼女の手を握ったまま僕は布団の中に戻ると、そっと頭を撫でてやった。
____おやすみ、グノーシア。
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