グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ32)

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「……ゲームのルールで言ったでしょ？
『挑戦』を選んだらどんな指示でも実行しなくちゃいけないんだよ？」

「だからってンな指示聞けるかよっ！」

「グノーシアなのに？」

「っ……っ……！」

……何も言えなかった。

そうだ、俺はグノーシア。
人間を、消さなくちゃいけない。
グノース様の元に送らなきゃ。

そんな事してどうにかなるかは知らない。
でもどんなに拒んでも、体が言う事聞いてくれないんだ。

今だって、目の前の人間を消したくて堪らないんだ。

この手で消して(触れて)やらなくちゃって。そう考えてしまうんだ。

「……まぁ、沙明の気持ちも分かるよ。
人を消す感覚って、なかなか慣れないから」

ふ、と口元に薄い笑みを浮かべ、そんな事を彼女は口にする。

意味が分からない。まるで人を消した事があるような(・・・・・・・・・・・・)コト言って。

グノーシアだった事があるような(・・・・・・・・・・・・・・・)コト言って。

「ごめんね、ちょっと意地悪し過ぎちゃって。

でも、そろそろ時間みたい。
本当は沙明に消して欲しかったんだけど……沙明が嫌なら、仕方ないよね」

「は……？」

「じゃ、このゲームは沙明の負けって事でね。おしまい」

「お、おい……？どういう事だよ、今の……？」

「じゃあね、沙明。また一緒にゲームしようね」

「おい……！待っ……！！」

……………あれ？

俺は目を瞬かせ、周りを見渡す。

俺は一体、こんな所でナニしてたんだろう？
1人寂しく(・・・・・)格納庫なんかにいてさ。

自分で自分がワケわかんなくて。
とりあえずヨロヨロその場から立ち上がる。

……乗員はもういないハズだよな？
全部ステラとお楽しみ(・・・・)した後だろうし。

じゃあこんな湿気た所にいる意味なんてないんだが……何故だろう。

どうしてか、離れ難かった。