グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ31)

今日:7 hit、昨日:6 hit、合計:5,842 hit

＊ページ31

「『真実か挑戦か』？」

もう何回聞いただろう。
そろそろこのゲームも飽き飽きして来た頃だった。

だってアレ以降、彼女は『挑戦』を選ばなかった。
まぁ、そこは俺もそうなんだケドさぁ。

だからただ交互に質問するだけになってな。これじゃゲームと呼んでイイのか分からねー。

そういや……ここ暫く悲鳴が聞こえねーな。
となると、そろそろ〝順番〟か。

「真実」

「ねぇ、そろそろ『挑戦』してみない？」

「ソイツはこっちのセリフだ。アレから1回も『挑戦』してねーじゃん」

「私は1回やったじゃん。
それに沙明の出す指示なんて大体予想できるもん」

「ちぇ」

お口にベーゼはさらっとやれるクセに。
もうちょいエレクトさせてほしいぜ。

とはいえ〝順番〟の事もあるし、何より質問ばっかも飽きて来た。

だから俺はようやくソレを口にする。

「じゃ、挑戦」

「私を消して」

…………自分の選択を酷く後悔した。

こんな事になるなら、つまらなくてもイイから『真実』って言っておくべきだった。

思わず息が詰まる。
ゆっくり彼女の方を見ると、彼女は変わらず飄々とした態度で「ほら、早く」と笑った。

あぁ、知らないんだろうか。
グノーシアに触れられたらどうなってしまうのか。
消えるってコトがどんなに惨いコトなのか。
知らないんだろうか。

じわりと握り締めた掌に汗が滲む。
俺は暫くその場で動けないでいると、痺れを切らしたのかAが俺に近付いて来た。

「っ…？！く、来るなっ！」

「沙明…？大丈夫？」

「だ、大丈夫だからこっち来んな！少しは…離れろ！」

「そう言われても……触れないと私の事、消せないでしょう？」

「おまっ…自分がナニ言ってンのか分かってんのか？！」

呆れるよな。グノーシアであるはずなのに。
ナニ言ってんのって。

それでも彼女は俺ににじり寄って来るので、俺もズルズルと後ろに下がる。そうしたら途中からAは近付いて来なくなって、どこか悲しそうに目を伏せた。