グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ29)

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真実か挑戦か【沙明】ページ29

「あーあ、負けちゃった」

格納庫にぶち込んだ後、Aは溜息を吐きながら苦笑いをする。グノーシアに船を占拠されたってのに、まるでゲームか何かで負けたかのような軽い感じだった。

俺はグノーシア側だが、その反応に思わず『マジかコイツ』って思った。

だってコイツはただの乗員。グノーシア(俺)が触れればたちまちパチンと消えてしまう。
消えるってどーゆー事が知ってっか？死ぬって事だ。いや、正確にはグノース様の元に送るから死にはしないんだろうけど、少なくとも体は無くなるんだ。不便なんてモンじゃねーだろ。

「悔しいなぁ。沙明がグノーシアなのは何となく分かってたんだけど、他の人は全く分からなかったなぁ」

「そいつはザンネンでしたっと。とりあえず大人しくしてろよ。面倒事になるとステラにナニされるか……」

「え〜、暇だからお話ぐらい付き合ってよ。
どうせ私の〝順番〟まではまだ時間があるんでしょ？」

……ホントにコイツ、マジか。
分かってて(・・・・・)この態度なのか。

直後に上がる野太い悲鳴。
今はジョナスがステラと一緒だから、ジョナスの悲鳴だろう。あーあ、野郎の悲鳴は聞きたくないねぇ。

まぁ、今の悲鳴を聞くに彼女の言う通り、まだお楽しみ中って所だろう。

「ね、沙明。ゲームしようよ」

「ゲームゥ？」

「〝真実か挑戦か〟ゲームって言うんだけど、知ってる？」

こんな状況でゲームしようと言うだなんて。
いよいよコイツも壊れて来てしまったのか。それとも、単純に気を紛らわせたいのか。

どちらにしろ、あまり気乗りはしなかったが黙って野郎の悲鳴聞いてるよりはマシかと思って。
俺は彼女の前で胡座で腰を下ろした。

「ルールは知ってる？」

「知らねー」

「最初にまず『真実か挑戦か』って問い掛けて、もう1人がどちらか選ぶ。『真実』ならどんな質問にも正直に答えて、『挑戦』ならどんな指示も実行する。それを繰り返すだけだよ」

「……それって勝ち負けとかあるのか？」

「さぁ？でも暇潰しには持って来い、でしょ？」

「……まぁ、」

今の所、面白いとは思わなかった。
ま、暇潰しだから別にいっか。

……あ、でも『挑戦』選んだらどんな指示も(・・・・・・)実行しなきゃならねーのか。

指示によっては気持ちイイかもしれねーな。