* ページ27
もしかしてこの船、グノーシアに占拠されちゃったとか…?
…いや、それならいい加減、グノーシアの連中が此処に来てもいいハズ。グノーシアが船を占拠した時に必ずと言っていいほどする取る行動は、まず残りの乗客を集めて格納庫にぶち込む事だ。
例外としてSQはレムナンを。
ステラさんとジョナスは気に入った人をそれぞれ別室に運んで行くけど、あとは皆そうする。
それにまだ今回のループは始まったばっかりで、乗員もグノーシアより多いはずだ。だからその可能性は低い、か……
となると、原因は一体……?
「……あ、の」
1人で思案していると、ふとステラさんが口を開いた。
しかも今度は軽く俺の服の裾を引っ張って。
この時、ちょっぴりドキッとしたのは内緒な。
「ど、どうした、ステラさん?」
「や……やっぱり、試して、みませんか?」
「試す、って……えっ?キス?」
「は、はい……」
あ、ステラさんがまたパニクってる……
また乙女の顔して俺の顔を覗き込むステラさん。
正直めっちゃ艶っぽくて、でも発言は可愛くて。
そんなチグハグな感じがまた良くて。
『ハイ、喜んで!』とお返事したい所を堪え、俺はステラさんに向き直った。
「ステラさん……ダメだよ。冗談でもそういう事言っちゃ。そういうのは好きな人としなきゃ」
「そんな…」
「大丈夫、もう少ししたらLeViが開けてくれるから。もう少しだけ待と?な?」
「…」
彼女をまた落ち着かせようと言い聞かせたら、ステラさんはまたしゅん、と肩を落とした。
その表情はまるで捨てられた子犬を思わせ、俺は内心悶絶する。
そんな……そんな顔されたら良心が傷付くやんけぇ……
「……目、閉じて」
「……!」
なんで俺とそんなキスしたがるのか分からんが、でもステラさんからお願いして来るし、そんな悲しい顔させるぐらいなら、と思い俺はそう言うと、途端にステラさんはパッと顔を上げた。
その嬉しそうな顔と言ったら。
さっきまで大人っぽい顔してたのに、まるで子供みたいに瞳を輝かせていた。
「よ、よろしいのですか?」
「い、いいから目を閉じて…!」
「はい…!」
彼女は俺に言われるがまま、その目を閉じる。
その無防備な彼女の今後を心配しつつ、俺はそっとステラさんの頬に手を添えると、ステラさんは「んっ」とやけに艶っぽい声を漏らした。
うわ、やっばァ……ステラさんのキス待ち顔やっばァ……
32人がお気に入り
「短編集」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ