グノーシア短編集＊LOOP3＊ (ページ3)

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「ちょっ……おい！待てよっ！！」

こっちが色々考えている間に、ラキオは勝手に決めて勝手に歩き出す。

思わずその背中を呼び止めると、ラキオは気怠そうに振り返って「何？」と眉間に皺を寄せた。

「報酬について不満があるのかい？それとも金銭的なやり取りの方を御希望かい？まぁ、僕にとってはどちらでも構わないから君の希望する方を叶えてあげようとは思っているけれど……」

「違う！……いや、報酬については色々言いたい事あるけど！そうじゃない！！

お前、さっきまでオレの事疑ってたじゃないか！なのに部屋に招くとかナニ考えてんの？！
オレが何もしないとでも思ってるワケ！？
グノーシアだったらどうすんの？！」

思ってる事を全部言った。ぶち撒けた。
だってあまりにも無防備過ぎるだろ。こんな調子で今まで生きて来てたんだろうかコイツは。よく生きて来れたな。

しかしラキオは何を考えているのか。
眉間に皺を寄せていた顔がだんだん解れ、緩み、何故か薄く笑う。

馬鹿にしてんのかと思って、それがまた腹が立ったが、ラキオはクスッと小鳥のように笑うと目を細めた。

「……あぁ、やはり君は君だな」

「は……？」

「いや、こっちの話だ。
それにしても……この僕の要求に物申す理由の第一が僕の心配とはね。まずは自身の身の安全を考えるべきなんじゃないの？

僕がグノーシアである可能性だってあるわけだからね」

「っ…！？」

＿＿＿＿え？もしかしてハメられた？

サッと血の気が引いていく。
さっきまで高揚していた体温が一気に下がっていくのを感じた。

そうしたらラキオは「あぁ、心配しなくていい」とこちらを小馬鹿にするように笑い、続けた。

「少なくとも今回の(・・・)僕は君の味方だよ。だから安心するといい」