ただかわいいって言われるだけの話【真名部陣一郎】 (ページ26)

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かわいい女生徒ページ26

ハナさんと別れた後、僕は寄り道する事なく真っ直ぐ宿舎へ戻りました。

でもその時は不思議と『寂しい』とか『悲しい』とかはありませんでした。

寧ろ『楽しみ』と言ったプラスの感情で胸がいっぱいで。

だって、だって。さっき彼女が言いました。
『また遊びましょ！』って。言いました。
……正確にはイナラインのメッセージなのですが。

また……また！また、って！
つまり、次も会ってくれるんですよ！
あぁ、今から楽しみで堪らない。

しかも今回は連絡手段を教えて貰いました。これで黒花さんをわざわざ介さなくても、彼女と連絡が取れるんです。

折角ですし、今度はこちらからお誘いするのもいいかもしれませんね。

「(あぁ、でもどうやって切り出しましょう…？
こういうのってどう話し出せば……？)」

そんな事を考えながら宿舎に戻って来ました。

戻って、来たのですが。

何やら入口前が騒がしい事に気付き、僕はふと我に返って正面を見遣る。

遠目からですが確かに人がいました。3人。
制服姿の女子生徒のようで、その内の1人はカメラを手にしていました。

そんな彼女達と対峙するのはおばちゃんで、何やら揉めている様子。

話の内容は流石に分かりませんが、あの制服はもしかして……

「だから何度も言ってるだろう？
大会関係者以外が此処に入るのはダメなのよ〜！」

「そこを何とか！グラウンドだけでも許可を頂きたいんです…！」

「A様の練習している御姿を何枚か撮らせて頂ければ、すぐ帰りますので！」

「だからAちゃんはお出掛け中なのよ、お・で・か・け！今此処にはいないのよ〜！」

「それはありませんわ！だってA様は今、このグラウンドで練習していると仰っていましたもの！」

「確かにこちらが無理を言っているのは分かりますが……だからって嘘はいけませんわ！」

…………少し近付いて会話の内容を聞き取ってみたのですが、やはり僕の予想で間違いはなさそうですね。

どうやら彼女達も黒花さんの親衛隊……及び、同学の生徒なのでしょう。
前に来た親衛隊の人達と同じ制服を着ていますもの。

しかも今度は身勝手にもこの施設内に足を踏み入れようとしている様子……

何故そこまでして黒花さんに会いたがるのか理解できません。