ただかわいいって言われるだけの話【真名部陣一郎】 (ページ24)

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かわいい写真ページ24

「か、かわいい物を見るとつい……何でも写真に収めたくなるの……不快に思わせたら、ごめんなさい……」

「いえ……写真を撮るぐらいで不快にはならないですよ。角度的に僕は写っていなさそうですし……」

まさかそんな事で謝られるとは思いませんでした。彼女は優しい人なのですね。

なので気にしないよう言ってみましたら、彼女はそっと顔を上げて「因みに…」と尋ねた。

「…真名部くんって、写真写るの嫌いだったり、する？」

「嫌い……では、ないですけれど……苦手です。どんな顔して写ればいいのか分からなくて……」

「そ、そっか…！じゃあ、こういうの撮る時はなるべく真名部くんは写らないようにするね！」

更に気を使わせてしまったのでしょうか。
ハナさんはしょぼんと肩を落としながらスマホを下ろし、鞄にしまう。

そ、そんなに僕の写真も撮りたかったのでしょうか…？

ま、まぁ、イナスタに投稿しないのではあれば1枚ぐらい……出来れば一緒に写ったりとか出来たら……って、何を考えているんでしょう、僕は。

ふと浮かんだ馬鹿な考えを振り払う様に首を振る。でもやっぱり少し彼女の事が気になって。背の高いシーサイドソーダ越しに彼女を見遣る。

「わっ！コレ美味し〜〜！可愛いのに美味しいとかサイコ〜〜！！」

「……」

……しかし、どうやら僕の心配は杞憂だったようです。

さっきのやり取りをまるで忘れたかのように、彼女は自分の分のマーメイドパフェを食べて、パッと表情を変えた。

パクパクと食べる手を進め、アイスを1つ食べ終えた所で僕と目が合う。「食べないの？」と首を傾げるので僕も慌てて手をつけると、ハナさんはクスッと笑った。

－－－

それから暫くは彼女と他愛のない話をして過ごした。

時々、彼女の言動が可笑しくなる時がありましたが、恐らく緊張しているんだと思います。僕だってそうでしたから。

でも〝かわいい〟物の話になると彼女は饒舌になって、やや口早にペラペラとつっかえなく語る姿はとても楽しそうでした。

ハナさんは本当に〝かわいい〟物が好きなんでしょう。

そんな風に過ごしていたら、あっという間に2時間が経過。
こんなにカフェに長居していた事がなかった僕は時計を見て驚きましたよ。

流石にこれ以上はお店の迷惑になるかもと思い、会計をして店を出ました。
そうして「これからどうしよっか？」との彼女の問いに僕は考えあぐねていると、不意に彼女の鞄から可愛らしい音楽が流れた。