ただかわいいって言われるだけの話【真名部陣一郎】 (ページ21)

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かわいい子猫ページ21

「ほら、見て！コレこの間見つけた猫の赤ちゃん！
遠いからちょっと画質悪いけど……思わず撮っちゃった」

そんな事を考えながら彼女をボーッと眺めていると、不意に彼女のスマホの画面が向けられた。

そこには2匹の白くて小さな猫が映っていた。
何処かの公園で休んでいるのか、お互いの身体を舐めて毛繕いし合っている所だった。

奥には大きな白い猫の姿が見切れていた。
きっとこの子猫達の親だろう。

確かに少し画質が悪かったが、子猫を見るには十分だろう。

……それにしても、この場所、何処か見覚えが……

「……ヨットハーバーグラウンド？」

見覚えのあるその場所について思わずポツリと呟く。

恐らくこの写真の場所はヨットハーバーグラウンド。
僕達イナズマジャパンがよく使う、海の見えるグラウンドだ。

別に施設の敷地内にあるってワケでもないですし、僕達が利用しなくても散歩に来たり通り掛かったりで日々色んな人が行き来している場所です。
……この間だって練習中に誰かさんのファンの方々が来ましたしね。

そんな場所で写真を撮ったって事は……ハナさんはよくこの辺に来るんでしょうか？

でも練習中に見掛けた事はありませんね。
たまたま彼女もヨットハーバーグラウンドに来たってだけなんでしょうか？それともファンだからこそ、僕達が普段使うグラウンドを見に来た、って事でしょうか？
……ちょっと自意識過剰、ですかね？

「あ」

僕が呟くと途端に彼女は見せてくれていたスマホを引っ込めた。

思わず彼女を見遣ると、何故か目をそらされる。
ど、どうしたのでしょう……？僕、今失礼なこと言いましたか……？

「こ、こここういう動物の写真って思わず撮っちゃうんだぁ〜！真名部くんはこういうの、好き？」

「へっ？え、えぇ……まぁ」

「そーなんだ！私のイナスタにこういうかわいいのいーっぱい投稿してるから、良かったら見に来てネ！」

「イナ…スタ？」

そんな事を言われましたが、生憎僕にとっては何にも分かりません。そういうのとは無縁でしたから。
皆帆くんから事前に教えて貰った情報によると『写真や動画を世界中の人とシェア出来るアプリ』らしいのですが……

僕が思わず首を傾げると彼女は「やってない？」と尋ねる。なので素直に頷くと、彼女はまた僕にスマホを見せながら教えてくれた。