ただかわいいって言われるだけの話【真名部陣一郎】 (ページ15)

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かわいい友達ページ15

「とりあえず……黒花さんはこの方とお知り合いなのですか？」

「う、うん！友達だよ！だから会わせてあげられる！……と、思うの！」

「そ…そう、ですか……」

とにかく、黒花さんは件の彼女と知り合いらしい。何だかちょっと……羨ましく思ってしまいました。

やはり周りに愛されている彼女には必然的に魅力的な人が集まって来るのでしょうね。

まぁ、とりあえず。件の彼女とまた会えるようなのです。個人的には是非とも、と言いたい所ですが、向こうの都合もありますし。

そもそも会いたいと思っているのは僕だけかもしれませんし……

「……でも、本当に会ってくれるんですか？
ファン、とは言っていましたけれど……」

「うん！だってわ…た、しのその友達、イナズマジャパンの大ファンだから！きっと会ってくれる……いや、寧ろ向こうも会いたがってると思うよ」

「そ……そう、ですかね……」

「うんうん！それにあの子、真名部のこと推してるみたいだし！」

「お……おし……？」

「簡単に言うとそのグループや作品の中でも特に応援してる人の事かな」

「そっ……そう、ですか……」

……先程から、胸が落ち着かない。
黒花さんの話では、件の彼女はどうやらイナズマジャパンの……特に、僕のファンらしい。

そんなこと言われたのは初めてで、だからでしょうか。ずっと擽ったい気持ちが込み上げて、こそばゆい。

ほ……本当に、僕の事を……1番に……？
そ、そうだとしたら……そうですね。素直に言えばとても……とても、嬉しくて。嬉しくて。

脳裏に浮かぶ、あの少女の微笑み。
僕は視線を落とす。にやにや1人で笑っている所を2人に見られたくありませんでしたから。

「ね、真名部。また会ってみない？
私が連絡するからさ！ね？」

「で、でも……そんな、突然……迷惑じゃ？」

「大丈夫だと思うよ。本人も相当会いたがってるみたいだし。……ね？黒花さん？」

「へっ？あ、ひゃい！そ、そそそうだネ！」

「……？」

……黒花さんがやけにテンションが高かったように思いましたが、彼女の後押しもあり僕は件の少女と会う事にしました。

連絡等は黒花さんがしてくれるようなので彼女に任せる事になり、何処か嬉しそうな彼女と別れてもドキドキと胸が収まりませんでした。

そんな僕と黒花さんを交互に見て、1人で意味ありげに笑う皆帆くん。「どうしましたか？」と尋ねても皆帆くんはただ笑うだけで、僕の求める答えは返してくれませんでした。