ただかわいいって言われるだけの話【真名部陣一郎】 (ページ14)

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かわいい少女ページ14

「く、黒花さん……？！」

唐突の登場に僕は思わず声を上げる。皆帆くんも声に出さなかったが表情は僕と同じく驚いた顔をしていた。

そんな僕達を見て我に返ったのか、黒花さんは途端に「ご、ごめんね……」としおらしく謝った。

「勝手に話聞いちゃって……つい……」

「ま、まぁ……別に内緒話って事でもないから」

「……ですが、先程の発言はどういう事ですか？『私がそう話してあげる』と……黒花さん、貴方、僕が今日会った人物について知ってるんですか？」

僕は表情を改めると、ついいつも通り強い口調でそう言って彼女を見遣る。彼女に問い掛けると、黒花さんは萎縮しながらも「う、うん……」と頷いたので、僕は続けた。

「そもそも、本当に件の彼女なのですか？全くの別人だったりしません？」

「ま、真名部が話してた見た目の特徴的に、そうかなって……お人形さんみたいなパステルパープルの服来た子でしょ？」

「…？そ、そうですけれど……僕、そんなに詳しく話してましたっけ……？」

「はっ、話してた！話してたよ！
えぇっと……そうだ！写真！その子の写真、見せてあげる！」

少し焦ったような口調でそう言うと、彼女はおもむろにジャージのポケットからスマホを取り出し、操作する。

彼女が画面に夢中になっている間に、僕は皆帆くんと顔を見合わせる。皆帆くんは肩を竦めるので僕は思わず1つ息を吐くと、彼女は「これこれ！」と1枚の画像を僕達に見せつけた。

その画像には確かに僕が今日会ったままの少女が映っていた。

全体をパステル色で纏め、ブルーベリーのような色の頭をハーフツインテで結び、アメジストのような濃い紫色の瞳。

僕はその画像を見て思わず「この人です！」と指差した。

「この人が今日、僕と会った人です！」

「へぇ……確かにお人形さんみたいに可愛いね」

「そ、そうでしょ…？ふわふわしててかわいいでしょ？」

「……でも自撮りだよね、コレ」

「そっ、その友達、イナスタやってて！
そこから今画像借りたって言うか……借りたの！」

「イナスタ……？」

「簡単に言うと写真や動画を世界中の人とシェア出来るアプリだよ」

「はぁ……？」

皆帆くんからイナスタの説明を受けましたが僕にはピンと来なかった。皆帆くんに苦笑いされてしまいましたよ。

対して彼女は先程からぎこちなく、皆帆は画像の少女と彼女を交互に見遣り、意味ありげに口角を上げた。