かわいい報告 ページ13
「へぇ……そんな人がいたんだね」
宿舎に戻り、早速皆帆くんに報告すると、皆帆くんも何処か嬉しそうな顔をする。
やはり彼もファンが出来て嬉しいのでしょうね。ええ、ええ、僕も素直に言えば内心とても嬉しいです。
自分達を応援してくれている存在が身近に感じられると、こちらとしてもその声援に応えなければと頑張れる気がしますね。
「嬉しいなぁ。イナズマジャパンのファンだなんて」
「試合の時も応援されているのは会場を見れば一目で分かりますが……こうして実際に触れ合ってみると、より応援されている事が実感出来るといいますか……なんだか新鮮で、とても……擽ったいです」
脳裏に浮かぶ、今日会った彼女。
まるでお人形のようなふわふわとした格好に、アメジストを埋め込んだかのような瞳。
挙動は終始おかしかったけれど、でも精一杯こちらに応援している気持ちを伝えようって気概を感じられたので悪い気はなく、寧ろ微笑ましくさえ思いました。
「でも随分と詳しく覚えてたね。その人の容姿」
「あ、あぁ……随分と派手、というか……お人形みたいで愛らしいな、と……思い、まして……」
「…………ふぅん？」
聞かれたから答えただけですのに。
何故か皆帆くんは意味ありげに片眉を上げるので、僕は思わず目をそらす。
別に、特に特別な感情を抱いたわけではありません。
ただ、格好が僕にはあまり馴染みのない格好で。だから余計に記憶に残っただけですし。
いや、そりゃ可愛いな、とか思いはしましたけれど……だってあんなふわふわした格好してましたし……で、でもそれだけですから！
「……イナズマジャパンのファンの人なら、また会う機会はあるんじゃないかな？」
しかし皆帆くんはまるで見透かしたように、意地悪く笑ってそう言うのです。
思わず「そういう意味じゃ」と反論しましたが、逆効果だったらしいです。皆帆くんはニヤニヤ笑ったまま「キミの話によるとその人、相当可愛い子みたいだね」と告げ、更に僕は反論した。
「素直に言えばいいじゃない」
「べ、別に！た、ただのファンの方ですし！ちょっと見た目が目立つから記憶に残ったってだけで……！
…………でも、そうですね。もう一度お話とかは、してみたい、かも……です……」
「な、なら！私がそう話してあげようか？」
そんな話をしていたら、不意に背後から乱入者が。
振り返るとそこには黒花さんが、何故か頬をほんのり染めて立っていた。
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