お部屋なのです ページ10
「……ふむ、そう言われたら楽しまないわけにはいきませんね。
改めて、今日はお邪魔させて頂きますね。一緒にいっぱい楽しみましょう」
そんなお母様の気持ちを考えると遠慮するのも何だか悪い気がしました。
なので私は改めてそう告げると、瞬木くんは「おー、よろしく」と気の抜けたお返事をくれました。
「という事で覚悟して下さい。今日は目いっぱい夜更かししますからね。怖い話をいっぱい聞かせてあげます」
「……明日も出掛けるんだろ?勘弁してくれ」
−−−
「とりあえず荷物はこの部屋に置いとけ」
その後、瞬木くんと家に入り、陣くん達と合流すると、一先ず荷物を置く為に部屋に案内された。
一言で言うと、とても綺麗なお部屋でした。
敷布団4つは並べて敷けそうな大きさで真ん中にローテーブル、壁沿いにコンパクトなチェストとスカスカの本棚、クローゼットとシンプルかつ簡素で。
なんて言うか……普段あまり人がいなさそうな部屋でした。
「寝るのもこの部屋でしょうか?」
「あぁ。あとで布団持って来てやる」
「……何もないですね」
「悪ィな、少し前までは物置みたいな扱いだったんだよ、この部屋」
「ガンバッておそうじしたんだよ!」
「偉いですね、瞬くん。よしよし」
「お、俺だって兄ちゃんのこと手伝ったし……!」
「雄太くんも偉いですね。よしよし」
案の定、普段は使われていない部屋だったようです。私達の為にわざわざ空けてくれたんですね。
とりあえず、お掃除を頑張ってくれた瞬くんと雄太くんの頭を撫でて褒め称える。その流れで瞬木くんの頭も撫でようとしましたが「やめろ」でバッサリ拒まれてしまいました。残念。
「……というか、Aはこの部屋で寝るの?」
「はい、そうですよ雄太くん」
「誰と?」
「…?それは……」
ふと投げ掛けられた疑問に私は答えられず、チラリと瞬木くんを見遣る。
そう言えば勝手に皆で寝るものだと思っていましたが、この部屋の広さじゃ4人分が限界でしょう。つまり最高でも4人です。
まぁ、多少狭くても構わないのならまだ行けそうではありますね。それこそ、前のように1つのお布団に2人で寝れば……
「あー……お前らはこの部屋で、俺達は自分達の部屋だ」
「えぇーーー!!!」
瞬木くんの回答にいち早く反応したのは瞬くん。
酷く残念そうな声を上げ、次の瞬間には瞬木くんの足に絡み付いてうるうるとした瞳で瞬木くんを見上げた。
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