トシノサ【不動明王】Part16 (ページ6)

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喧嘩売られてんだよページ6

『今度の土日に陣くん達とお泊まり会して来ます』

『おーおー喧嘩売ってんの？？』

古城からのイナラインを見て、思わず反射的に返してしまった。

いやしかし、これは仕方ないだろ。
なんでよりにもよってあのメガネとお泊まりするんだよ。

つーか〝達〟？他に誰いンだ？？
でも何となく読めるぞ。皆帆と瞬木辺りだろ？
なんで野郎ばっかなんだよ。

『喧嘩は売ってませんよ』
『ハグとかちゅーとかは受け付けていますけれど』

『ハグもちゅーも俺だけに売れよ』

『不動さんなら私ごと売ります』

『それはちょっと』

『？？？？？』

また変にふざけているからノッてやったが、ちょっと意地が悪過ぎたのか。一呼吸間を置いてから怒涛の怒りスタンプを連打された。

それが収まると俺は話を戻した。

『とりまお泊まり会だろ？いってら』

『意外とあっさりですね』

『引き留めてもお前は行くだろ？』

『はい』

『じゃあ意味ねーよ』
『それにアイツらなら大丈夫だろうしな』

『大丈夫とは？』
『陣くん達は人畜無害な良い方々ばかりですよ』

『ダウト』

人畜無害……？本当に？
ちょっと辞書引き直して来てほしい。

少なくとも俺に対しては無害じゃねーよ。
無論、他の連中もな。

全く……あの物言いから察するに普段の俺の気苦労を知らないな、このお姫様は。

『ま、楽しんでくれば？』

『それは勿論』

『じゃ、おやすみ』

『まだ22時ですよ』
『寝るには早過ぎます』

『うっせー』
『もう用無いだろ？』

『しりとりしません？』

『またかよ』

どうも寂しがり屋な彼女はしりとり以外に俺を引き止める術を知らないらしい。

仕方ないから『ようかん』って打ったらまた怒りのスタンプが連続で流れて来た。

しかしそれで気が済んだのか『しょうがないですね』って何故か言われてしまった。ワガママ言ってるのはどっちなんだか。

『ではおやすみなさい、不動さん』

『はい、おやすみ』

『ちゃんと寝るんですよ』
『夜更かししないように』

『それはお前もな』
『おやすみ』

『あ、次いつ雷門中に来られますか？』

『とりあえず今週はもう来ないとだけ』
『おやすみ』

『あと次のデートはいつ行きましょう？』

『頼むから寝なさい』

……結局、それからも暫く彼女とのイナラインは続いた。