トシノサ【不動明王】Part16 (ページ5)

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ご機嫌直してほしいのですページ5

「……どうしたの？さっきまで浮かれてたのに」

先輩方がやいやい騒いでいたその時、狩屋くんはそっと私に声を掛けて来た。

ちょっと心配そうな顔をしていたので、きっと気遣ってくれているのでしょう。狩屋くんはなかなか鋭い人なのです。

……まぁ、別に心配されるような事でもないので、少し申し訳なくもありますけれど。

「大した問題では……ただ、浮かれていた分、突き落とされた衝撃が強くて……」

「……？どゆこと？」

「実は今度の土日に陣くん達と遊ぶ約束をしていたんですけ」

「は？？？」

あ、すっごい怖い。急に表情変わりましたこの人。

さっきまで心配してくれていたのに、急に目が吊り上がってしまいました。しかも食い気味です。

今の発言の何処にそこまで怒るポイントがあったんでしょうか……？

「…………〝達〟？何？他に誰いんの？あのギョロ目のヤツ？」

「皆帆くんですね。あと瞬木くんです」

「瞬木……うわ、よりにもよってアイツかよ……」

皆帆くんの名前で顔を渋め、瞬木くんの名前でかなり嫌そうな顔をされました。

狩屋くんはどうして私の友人がこんなにも苦手なのでしょう。なんだか悲しくなってしまいます。

「……何処行くの？」

「しっかりとは決めていませんが……色々行きたいですね。稲妻商店街とか、お台場とか」

「2日連続で遊ぶんでしょ？泊まるの？」

「お泊まりは出来ればいいなと……」

「誰の家に？泊まるの？」

「あの、狩屋くん。何故そんなに怒っているのですか？」

予定については未定なので曖昧な返答しか返せなかったのですが、話が進むにつれ狩屋くんの眉間の皺が増えていく。

指摘したら多少は無くなりましたけれど……まだ思う所があるのでしょうか。表情が完全に怒ってるんです。

何をそんなにお怒りに……
やはり、あまり仲良くない陣くん達と遊ぶのが気に食わないのでしょうか。

「……ふーん。ま、勝手に楽しめばいーじゃん」

「あ、はい。楽しむつもりではありますが」

「っ……」

「……お土産、ちゃんと買ってきますから……そろそろ、ご機嫌直して頂けますか？」

「べ、別に機嫌悪くなんてなってねーーし！！」

せめてと思って言ってみたのですが、寧ろ機嫌を悪くされた御様子。

「フンっ！」と鼻息を荒げ狩屋くんは言ってしまわれました。

……狩屋くんは狩屋くんで、また別に遊ぶ約束を取り付けたいですね。