トシノサ【不動明王】Part16 (ページ14)

今日:4 hit、昨日:10 hit、合計:2,717 hit

ふと思うのですページ14

「(それにしても……)」

ペラリとページを捲りながら、私は考える。

この主人公の恋の御相手は1つ上の先輩さんです。勿論、同じ学校に通っていて、部活も同じだから毎日のように会っています。

ハッキリ言って羨ましい。
こちらは1週間に1回会えるかどうか、なのですよ。
それに10年ぐらい歳も離れてますし。

もしも不動さんと私の年齢がこの漫画の2人みたいにあんまり離れていなかったら。
皆の前でも堂々とイチャイチャ出来たんでしょうか。

デート中に手を繋いだり、皆の前でも不動さんに甘えたり。出来たんでしょうか。
妹と間違えられたりしなかったんでしょうか。

私は不動さんとお付き合いしています。
していますけれど、時々ふと思うんです。

私なんか不釣り合いなんじゃないかと。

だって不動さんは大人ですからね。
対して私はどう見てもお子ちゃま。
並んで手を繋いだら犯罪ですよ。

だから私達は皆にバレないようにしています。
必死に悟られないようにしています。

……私がもう少し大人だったら、そんな事は気にせずにいられたんでしょうか？

不動さんに気遣われる事なく、思いっ切り甘えられたんでしょうか。

「(私がもっと……大人だったら……)」

「何読んでるんですか、A？」

とあるページで楽しそうにデートをしている2人をなぞりながら、そんな事を考えていたら、不意に背後から声を掛けられました。

私は振り返ると、そこには陣くん。
隣にはいつの間にか皆帆くんもいました。

「恋愛漫画だね。Aもこういうの読むんだ」

「……いいえ、暇だったので」

「ごめんね、待たせちゃって。
会計終わったから出よっか」

「あ、はい」

そう言われて私は読んでいた本を元の場所に戻し、お店の外に出る。

瞬木くんはもう既に店の外に出ていたようで、私達が出て来ると「お、来た」とこちらと合流しました。

「用事は済んだのか？」

「うん。皆は何処か行きたい所はある？」

「特にはないですね……」

「……あ、向こうにおでん屋さんがあるんですけれど、ちょっと寄ってもいいですか？あそこの大根、美味しいんですよ」

「…………それで最後だからな」

皆帆くんの問いに私は向こうを指差しながら提案しましたら、3人には何故か呆れた顔をされてしまいました。