彼とソードウルフ ページ43
「A！一旦此処を離れよう？何だか……変だよ！森が急に……」
森の急変に俺は彼女に声を掛けながら辺りを見渡す。
風も吹いていないのに、木々がゆらゆらと不自然に揺れ、葉が擦れる音が木霊する。
普通じゃない。
まるで何か良くないモノが起こる前触れのよう。
でもAは以前として動けないままだ。
仕方ないから、Aを抱えて道を引き返そうと……
「＿＿＿＿危ないっ！！」
不意に聞こえた声で後ろを振り返ると、眼前には
いつの間にか野生のソードウルフが迫っていたのだろう。
しかし、可笑しな事にその大口の奥の方から
「っ……！？！」
俺は既の所でAを巻き込んで横に倒れ込んだ。
おかげで難を逃れ、ソードウルフは俺達を飛び越して行った。
地面に着地したソードウルフは獲物を取り損ね振り返る。その瞳は虚ろで耳まで裂けている真っ赤な口の奥から、1本の異様に長い腕が伸びていた。
ど、どうなっているの…？！
俺の知ってるソードウルフじゃない！
そもそも、口から腕が生えた生物なんていないよ！
喉から文字通り手が伸びているのに、赤く滲んだ涎を口端から垂らしながらグルルと唸るソードウルフ。
腕の方はうねうねと不規則に動き、手を大きく広げてこちらに構えていた。
どうなっているんだろう…？
あれ、ソードウルフは苦しくないのかな？
そんな事を考えるぐらいには、俺の頭は一周回って困惑していた。
「っ…？！ンだ、あのバケモノ！？」
そんな時、ようやくAは我に返ったようで。
ガバッと起き上がって特殊なソードウルフを見遣る。
次に俺の方を見たが、そんな困ったような顔をされても困る。俺だって知らないもん。
だから素直に首を横に振ったら、Aは「はァ？！」と声を荒らげた。
「ッチ……何だか知らねーがやるぞ、ゴウセル！」
「う、うん…！」
でも流石にこの状況を放っておくワケにもいかない。
特殊なソードウルフは今にも襲いかかって来そうだったから、Aに倣って俺も神器を構えた。
その時、また木々がざわつき出す。
何事かと周りを見渡すと、いつの間にか森の動物達に囲まれていた。
しかし、その動物達はどれも目の前のソードウルフと同じ状況だった。
八つ裂きウサギも、テバチョウも、ドクロジカも、小鳥達も。
皆、口が有り得ない程に裂け、そこから白い腕が伸びていた。
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＊IJu＊(プロフ) - [漆黒の堕天使]夜愛師刹羅さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです！自分も「さっさとくっつけばいいのに……」って思いながらいつも書いてます←？？ (2023年4月1日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
[漆黒の堕天使]夜愛師刹羅(プロフ) - こうゆうじれったい+自覚がないようなラブコメ……好み！！いやらしい雰囲気にしたくなります(余計なお世話？) (2023年4月1日 0時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
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