彼女の焦燥 ページ33
肌が、泡立つ。
神器を持つ手に、力が込もる。
なんなんだ。
コイツは、なんなんだ？
ゴウセルが出て来たと思ったら。意味わかんねー事言ってリラになりやがった。しかもそっくりそのまま。
声も姿形も仕草も喋り方も。何もかもが本人そのまま。気味が悪いったらない。
一瞬でぐちゃぐちゃになった脳味噌を、1度落ち着かせる為にも。僕は奴に疑問を投げ掛けた。
「…………お前、何者だ？」
「あぁ、安心して？私はアナタの敵ではないよ」
しかし、返ってきた返答は何とも在り来りで、信用ならないモノだった。
思わず奴の喉元に更に切っ先を突き付けたら、奴はリラの顔でキョトンとした顔をしてから「怖がらないで」とまた笑った。
気色悪い……何より気色悪いのは、敵意を全く感じない事だ。
こんだけ武器を突きつけても、睨みつけても、凄んでも。目の前の奴はリラのように笑って、攻撃する素振りも見せなければ、僕を敵としてさえ見ていない。
それがまた、気色悪い。
ゴウセルとイイ勝負だな。
「なら頭の悪い僕でも分かるようハッキリと簡潔に言え！お前は何者で、どうして僕の目の前に現れ、目的は何なのか！！返答に寄ってはぶっ壊す！！」
「おぉ、怖い怖い」
「っ……僕は本気だからなっ！！？」
リラの姿をしているからか、どうにも調子が出ない。
ソレを見透かされているのか、彼女はやけに余裕があって。僕は焦燥で更に武器を突き付けた。
その瞬間、つぷりと切っ先が彼女の首に突き刺さった。
そこから真っ赤な液体が玉のように膨らんで、爆ぜて、彼女の細い首筋に伝う。
得体の知れない相手とはいえ、見た目はリラだ。当然、僕は困惑した。一瞬、本物のリラを刺してしまったんじゃないかと思う程気が動転して、思わず突き出していた神器を引っ込める。
しかし、対して彼女は痛がる事もなければ特に気にする様子もなく。ただただ「大丈夫」と僕を安心させるように微笑むと、そっと傷口に己の手を翳した。
すると、どうだろう。
彼女がその手を払った頃には、確かにあった傷口はまるで最初から無かったかのように塞がっていて。
僕は思わず目を見開くと、彼女は薄く笑った。
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＊IJu＊(プロフ) - [漆黒の堕天使]夜愛師刹羅さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです！自分も「さっさとくっつけばいいのに……」って思いながらいつも書いてます←？？ (2023年4月1日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
[漆黒の堕天使]夜愛師刹羅(プロフ) - こうゆうじれったい+自覚がないようなラブコメ……好み！！いやらしい雰囲気にしたくなります(余計なお世話？) (2023年4月1日 0時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
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