彼女は死なない ページ26
「A……？」
「僕は、死なない」
唐突の行動にゴウセルは目を白黒させる。
そんなヤツに構わず、僕は本を読み聞かせるように言葉を続けた。
「僕は死なない。例え死にそうになっても、死なない。
ましてや、誰かに殺されたりなんてしない。
……僕を殺すのは寿命だけだ」
「約束」と最後に呟いてゴウセルから離れると、ヤツは目をパチクリと瞬かせるばかり。
首を傾げ、じっと黄金色の瞳で僕を見つめる。
その視線に耐えかねて僕はそっぽを向くと、ぶっきらぼうに吐き捨てた。
「に、人間で言う『指切りげんまん』ってヤツだ。
魔女族ではこうすンだよ」
「指切り……？人間が行う契約の一種？」
「契約、つーか……約束を守るっつー儀式？誓い？
……って、そーゆーのはどうでも良くてだな」
不思議そうな顔をしながらも、ちゃんと聞きたい事は聞くゴウセルに呆れながらも、僕は適当に応えて終わらせようとする。
いい加減、血濡れでいるのも気持ち悪いしな。
「ほら、もう行け」って今度こそ行かせようとしたけど、ゴウセルは依然として動かず、何を思ったのか僕と合わせた額を指先でそっと撫でた。
次の瞬間、ほんのり頬を赤らめる。
何とも言えない顔をして瞳を揺らすゴウセルに僕は眉を顰めると、ゴウセルは「えへへ、」と何故か照れくさそうに笑った。
「ちょっと、ドキドキしちゃったかも。
Aの顔が近かったから」
「はぁ……？」
「でもAの言った事は本当？
Aって約束してもあんまり守ってくれた試しがないから……」
「……じゃあ、お前は僕が寿命以外で死ぬって言うのか？」
「そういう事じゃないけど……！」
じゃあ答えに悩むこと言うなよな。
否定はするけど、まだ不満そうなゴウセルに僕はまた溜息を吐いてしまう。
どう言えばこの場から去ってくれるんだろう……
リラもゴウセルのこと気にしてこっち来るかもしれないし。
「約束なんてしても守り通すなんてフツーに考えて難しいだろ。つーか、僕の場合は守る気のない約束はそもそもしない主義だし……」
「……」
「……なんだよ？悪かったな、薄情な魔女でさ」
「……ううん、」
リラの事もそろそろ気になるし、どうしたもんかと思っていたが、どういう風の吹き回しか。
不満げな顔してたゴウセルが首を横に振ると、さっきとは打って変わって何故か嬉しそうに笑って僕を見遣る。
……な、なんだコイツ……気色悪いな。
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＊IJu＊(プロフ) - [漆黒の堕天使]夜愛師刹羅さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです！自分も「さっさとくっつけばいいのに……」って思いながらいつも書いてます←？？ (2023年4月1日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
[漆黒の堕天使]夜愛師刹羅(プロフ) - こうゆうじれったい+自覚がないようなラブコメ……好み！！いやらしい雰囲気にしたくなります(余計なお世話？) (2023年4月1日 0時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
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