彼女と魚 ページ19
「魚が、泳いでたんだ」
「魚……？」
「え……」
「泳いでて……だから……僕……僕、は……？」
そこまで話して、僕は頭を抱えた。
確かに脳裏に浮かんだが、でも
まるで夢でも見たような気分だ。
本当にあの時、魚が泳いでいたのか自信がない。
そもそも、魚だったかも怪しい。
当然、そんな風に答えたらゴウセルに首を傾げられ、リラは目を丸く見張られた。
どうにか覚えてる事を思い出そうとして、必死に記憶の糸を手繰り寄せる。
魚が……泳いでて。それを目で追ってた……はず。
その魚は……えぇっと、どんなのだったっけ。
でも確か、とっても綺麗だったんだ。
色がバグったこの世界でようやく、まともな色のモノに会えた気がして。少し興味が湧いて。
それで、その魚を追いかけようとしたら……
＿＿＿＿
「A、」
「っ……？！」
その瞬間、ぽんと肩にゴウセルの手が乗っかり、思わず肩が跳ねた。
大袈裟な反応にゴウセルは「どうしたの？」と不思議そうな顔で尋ねるので、僕は首を横に振ってヤツから目をそらした。
……背筋が、ゾワッとした、
肌が粟立ち、寒気がする。
なんだ、今のは。なんなんだ、今の。
身に覚えの無い、でも確かに存在する記憶。
でも思い出せたのは一瞬だけ。
もう頭の中から吹き飛んでしまった。
それは生来の忘れっぽい性格故か。
それとも、何か良からぬ力が及んでいるのか。
それすらも分からず、僕はそっと毛布を握り締めると、おもむろにリラが僕の頭を撫でた。
「……今日はもう、休みなさい。
きっと疲れたんでしょう。だってA、今日は1日中ずーっと『
不自然なほど柔らかく微笑んで、リラはそう言った。
薄気味悪さから逃れたくて、僕はただ黙って頷くと「でも明日からはまた暗記に専念してね」と付け足され、僕は思わず顔を顰める。
つーか、もしかして夕飯後も『
いや、確かに急いだ方がいいとは思うけどさぁ……
思わずリラを睨んでしまうと、リラは「あら、なぁに？」とわざとらしく首を傾げる。
こうなったら何言っても無駄なので、僕はこっそり溜息を吐いた。
「………………」
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＊IJu＊(プロフ) - [漆黒の堕天使]夜愛師刹羅さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです！自分も「さっさとくっつけばいいのに……」って思いながらいつも書いてます←？？ (2023年4月1日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
[漆黒の堕天使]夜愛師刹羅(プロフ) - こうゆうじれったい+自覚がないようなラブコメ……好み！！いやらしい雰囲気にしたくなります(余計なお世話？) (2023年4月1日 0時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
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