彼女と狩猟 ページ13
しかも1匹、2匹ではない。
ざっと10匹はいるだろう。
野生の八つ裂きウサギは人間に慣れてなんかいないから、見掛けたら一目散に逃げて行くはずなのに。
こんな沢山の八つ裂きウサギが僕達を前に家の中に入って来ては思い思いに探索し出し、すぐ足元にまで近付いて来る始末。
これにはリラも最初は驚いていたが、やがて「かわいい〜！」とすぐ足元の八つ裂きウサギを抱き上げた。
よく見るとその八つ裂きウサギの首元にはビリビリと光の矢が刺さっていた。
ソイツだけじゃない。ゴウセルが連れて来たウサギ全部に刺さってた。
あぁ…そういやゴウセルは人の精神を操れるんだったな。
それは動物も例外ではなかったって事だ。
これじゃ、僕の出番も無さそうだな。
「とりあえず、これぐらいでいいかな？」
「……いや、多いわ」
「いいじゃない、A。癒しは沢山いた方がいいでしょう？」
「リラ、言っとくけどコレ食うんだからね」
「えっ………………」
「いや、そんな顔されましても……」
八つ裂きウサギの可愛さ(？)にメロメロになっていたリラだったが、僕の一言でその表情が凍り付く。
ウサギ撫でる手までも凍ってしまった。
そう言えば……リラの生前、狩りに行く事はあっても解体する所は見せた事なかったな……狩ったその場で解体して、売り物に並んでるような状態まで切り分けてから持ち帰ってたから。
リラの場合、狩猟とは無縁の生活送ってただろうし、その反応はまぁ仕方ない。
「……とりあえず、リラが抱いてるソレは逃がすぞ。
あと今日の夕飯分以外も逃がせ」
「え？どうして？」
「アホ人形が。森の生態ぶっ壊す気か？
狩りはいっぱい取りゃいいってモンじゃねェ。
必要な分以上は狩らないのがルールだ」
「……」
乱獲すれば数は減り、次の狩猟で狩れなくなる。
そうなったら自分達も困るし、森の生物達も困る。
とりあえずリラが抱いていた八つ裂きウサギと他、適当なのを外に出し、4匹程を家に招いてあとは元いた所で逃がすようゴウセルに言ってやる。
ふとリラの方を見遣ると、彼女は目を丸く見張ったまま、僕を見つめていた。
「何？」と尋ねるとリラは少し焦った様子で「なんでもない！」と首を振り、また自分の足元に来た八つ裂きウサギを抱き上げた。
……さて。何処で解体しようかな。
出来ればリラに見られない所がいいんだが。
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＊IJu＊(プロフ) - [漆黒の堕天使]夜愛師刹羅さん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けているようで作者も嬉しいです！自分も「さっさとくっつけばいいのに……」って思いながらいつも書いてます←？？ (2023年4月1日 23時) (
レス) id: c0312d3eb1 (このIDを非表示/違反報告)
[漆黒の堕天使]夜愛師刹羅(プロフ) - こうゆうじれったい+自覚がないようなラブコメ……好み！！いやらしい雰囲気にしたくなります(余計なお世話？) (2023年4月1日 0時) (レス) id: 87644745f4 (このIDを非表示/違反報告)
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