箱庭少女の孤高哀歌【瞬木隼人】～番外編2〜 (ページ19)

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#意地悪ページ19

指を絡ませて、ギュッと握るので私はまたはー君の方を見たけれど、はー君はまるで気にしていないかのように振る舞い、私と目を合わせない。

合わせはしない、けれど……はー君の手は私の手を緩く繋いだり、また握ったりを繰り返し、親指で手の甲を撫でるかのように動かされ。

ブワッと顔に熱が集中するのを感じながら、私も必死にはー君から目をそらした。

き、急に、何……？何っ……！？

いや、嫌とかじゃ、ない、けれど……で、でも、急に……！

前の人達にバレないように、何とか平然を保つけれど、頭の中はパニック状態。

口を開いたら声を上げてしまいそう……
ドキドキと胸がうるさくて、はー君が気になって、手の甲を撫でられる度にゾワゾワして。

もう、アトラクションどころじゃなかった。

－－－

A「……はー君の意地悪……」

結局、あの後は落ちるまでずっとあのままで、最後ら辺の物語は私は全く頭に入っていなかった。

だから結局、秘宝を見つけたのかどうかさえ分からない。だって気付いた時には落ちてたんだから……

瞬木「今のは結構楽しかったな」

そんな私の気持ちを知ってか知らずか、はー君は御機嫌でそんな事を言い放つ。

しかも、わざわざ私の顔を覗き込みながら。

恥ずかしくて咄嗟にそっぽを向くと、意地悪く笑うはー君の声が聞こえた。

瞬「うん！たのしかったね！」

神童「落ちるのは……想定してなかった……」

雄太「落ちるって知らなかったの？」

霧野「あぁ、敢えて言わなかった。神童のリアクションが見たくてな」

神童「霧野っ…！」

……意地悪な人はどうやら、もう1人いたみたい。

霧野くんは青い顔をした神童くんを見て子供のように笑ってた。

「京介ー！」

そんな感じで出口を潜ると、すぐそこにあったベンチから声が掛けられた。

そちらを見遣ると、そこには見覚えのある、優しそうな顔。剣城くんのお兄さんだ。

優一さんも剣城くんと同じく新撰組の羽織を着ていて、私達が出て来るとベンチから立ち上がり、松葉杖を突いてこちらに歩み寄る。

そこを慌てた様子の剣城くんが駆け寄って行った。